ブランドや企業におけるコーポレートデザインの考え方

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企業やブランドの軸となり、重要な役割を担う「コーポレートデザイン」。今回、デザイナーの髙金千秋さんに、企業のデザインについてインタビュー。ロゴデザインからパッケージデザインまで、様々なブランドのデザインに携わってきたからこそ見えてきたものとは?

ロゴはユーザーとのコミュニケーションの入り口

― コーポレートデザインとは?

コーポレートデザインとは、企業そのものをデザインすることで、主に社会における企業イメージを形成し、企業の価値を高めることを目的としています。その中の一つであり、企業やブランドの顔となるのがロゴです。初めて会ったときに名刺に入っていたり、建物や看板に入っていたり、日常生活の中で、誰もが無意識に膨大な量のロゴに触れています。そして、そこから皆さん、企業やブランドの印象を少なくとも何かしら感じていると思うんです。だからこそロゴは、社会に向けた最初の印象づけであって、コミュニケーションの入り口になっているんです。

また、ロゴは外側(ターゲット・消費者)に対してだけでなく、内側(社内・組織内)にもとても影響力があります。社員の意識を向上させたり、団結力を生むことにも繋がります。だからこそ、ロゴを作成するときは、会社の立ち上げから歴史、企業理念・目標などをヒアリングした後、その会社が持っているイメージやストーリーがビジュアルで直感的に伝わるよう、意識して作っています。

コーポレートデザインロゴ

例えば、こちらの「ホテル ローカス」のロゴ。ホテル名にもなっているLOCUSという言葉は、「位置」「軌跡」という意味を持ち、「Local」「Location」の語源になっているんです。なので、「旅に来た人の思い出の中に、この場所の空気感や余韻が残るロゴ」を着地点として考え、ホテルのデザインコンセプトでもある「ハンドクラフトデザイン」にトーンを合わせながら、制作を進めました。南の島の空気をロゴに組み込みたいと思っていたので、太陽や宮古島に根付いた植物をモチーフに、いろいろと提案させてもらいました。

その中でもこのクバの葉は、沖縄では昔からうちわやホウキに使う身近な植物でありながら、防風林として建物を守り、神が宿る神聖な木として祭祀や地域行事に欠かせない特別な植物でもありました。また、光り輝くように見える放射状に伸びた印象的な形状の葉も魅力的だったので、情報を発信していく場所でありながら、クバに守られた場所(実際にホテルの入り口などにはクバが植栽されている)として、多くの人々が集い、安心してくつろぐことのできるホテルを象徴するロゴになったと思います。

― 様々なものに使用するロゴだからこそ、デザインの面で気をつけた方がいいことは?

最近は、グラデーションや色数の多いロゴも増えてきていますが、デジタルインターフェースに溢れる世界でロゴは、大きなモニターから手のひらサイズの小さなデバイスにフォーマットされます。そういった使い勝手を考えると、私はロゴにおいては要素は少ないほうがいいと思っていて、なんだったら色数も少ないほうがいいし、形もシンプルな方がいろんなものに汎用することができます。抽象的すぎるよりは、何でも単純な方がいいという考えですね。

説明されないと分からないものって結局、個人的な解釈で違ったイメージになってしまうんです。例えば、熱いイメージだと赤、クールなイメージだと青、柔らかい印象だと丸、しっかりとした印象だと四角というように、共通認識みたいなものを積み重ねてロゴを形成していくことが多いです。

グラフィックデザイナー髙金千秋さん

ー どのようにデザインのイメージを擦り合わせていますか?

私が長年、デザインさせてもらっている「La Cucina」のロゴは、高品質なスキンケアブランド「らしさ」を出せるよう意識しました。洗練されたシンプルなロゴタイプ(ロゴに使われる文字)をベースに、商品の原材料に精油や植物由来の原材料を多く使っているため、植物の要素を少しだけ取り入れて、華やかで分かりやすいバラのモチーフをワンポイントとして入れました。「らしさ」のようなものを演出することを、「トーン&マナー」と良い、属性や世界観を伝えるのにはとても重要です。素肌につけるものだからこそスキンケアブランドの多くは、洗練された清潔感のあるイメージをシンプルで綺麗なデザインとして伝えているのかなと思います。また、子供服のブランドなどになると、楽しげだったり親しみやすかったり、POPなイメージのものが多くなります。

お客様からデザインを依頼いただく際、「どうやって説明していいか分からない」という方も少なくありません。その場合、デザインのイメージをたくさん用意して見てもらいながら、「これではない」「こっちのほうが近いかも」と、デザインの方向性をすり合わせていくこともあります。

コスメパッケージ

La Cucina」のフェイシャルソープのパッケージ。全部で5種類あり、右上は沖縄素材である月桃&クチャを使った「Okinawa Soap Gettou&Clay」。琉球びんがた普及伝承コンソーシアムとコラボした紅型のデザインを取り入れており、ぱっと見で商品の内容に沖縄素材が使われていることが分かる。

コスメパッケージ

左上の商品にあるロゴは「ネイチャープランツスキンケア」というブランド名の「NP」をとり、地球から植物が伸びているイメージで作成。高金さんが昔、憧れていたコスメブランドからインスピレーションを受けたそう

サスティナブル=継続可能かということを意識

― 商品のパッケージデザインで意識していることは?

中に入る商品の性質がどういうものなのか、イメージで伝えることは大前提としてあります。長年付き合ってきたクライアントがいたからこそ、結果として見えてきたことですが、パッケージデザインのヴィジュアルが抽象的すぎたり、英語表記しかないパッケージでは、見た目はオシャレなんだけど、消費者にはこれが何かということが伝わらず、結局はデザインの再考ということになってきた過去が何度もあります。だからこそ、最近特に意識しているのは、「サスティナブル(継続可能)」であるか、ということです。

例えば、この「La Cucina」の石鹸のパッケージは、1枚の紙だけでパッケージを完結させています。紙を折ることで商品を包み、さらに裏面が商品説明になっていることで、中に入れるパンフレットを省くことができています。包装するスタッフの作業を減らすことができ、コストも抑えられました。過剰なデザインや包装は作業効率が悪いし、コストもかかるうえにゴミが増えることで環境にも悪い。今後は企業にとっても、環境にも優しいサスティナブル(継続可能)というキーワードが、デザインだけの範囲にとどまらず、重要なテーマになってくると思います。また、流行りを取り入れたデザインだと、時間が経つと古いものになってしまうため、トレンドに捉われないベーシックなデザインというのは意識しています。逆に、季節限定商品など、長期的に販売する商品でなければ、旬なものやトレンドを取り入れるのは良いと思います。

コスメパッケージ

― パッケージデザインを作る前に、ブランド側が意識すべき点は?

その商品を発売するにあたっての想いや、テーマ、キャッチコピー的な言葉があれば、想像しやすいと思います。箇条書きでもいいので、イメージを言葉で羅列していくだけで、デザインイメージは膨らみます。「こういう人に使ってもらいたい」など、特定の人物像を作りあげて、そこに向けて作っていくのもいいと思います。

また、パッケージ素材は選択肢が広い分、素材選びから完成まで時間がかかってしまうことがあるので、余裕を持って作り始めることをお勧めします。最近は、ネット注文ができる印刷会社でも結構いろんなことができるし、小ロットでもいろんなものが作れたりするので便利です。型抜き、穴やミシン線、箔押しなど、本当にいろんな加工ができるんですよ。

レコードパッケージ

髙金さんがデザインした、デンマークのレーベルから発売された、沖縄出身のユニットのアナログレコード「Okinawa Delays/Lotta Love(Feat.Satoko Ishimine)」。デザインする際にいただいたテーマが「多幸感」。ピンクを全面に使用し、「多幸感」という言葉から連想させていき、カップル、海、ミラーボール、ダンスというキーワードをヴィジュアル化していったそう。

髙金 千秋(Takagane Chiaki)

沖縄県出身のグラフィックデザイナー。デザインの専門学校を卒業後、東京のデザイン会社で2年間デザイナーとして働く。2005年より沖縄に戻り、フリーランスのデザイナーとして沖縄県内の仕事を中心に活躍。ロゴマークや商品パッケージなどコーポレートデザインを多く手がける。

http://vanilla-graphics.com

AIEN COFFEE&HOSTEL

撮影協力/AIEN COFFEE&HOSTEL

撮影/macoty

Canvaでロゴを作ってみよう

Canvaでは、テンプレートを使ってロゴマークのデザインができます。ロゴマークの作成はこちらから。

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また、Canva Proのプランをご利用いただき、企業やブランドのロゴマークを登録しておくと、デザインへ簡単にロゴマークを反映することができます。ロゴマークの登録方法

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