効果的なデザインブリーフを書くには

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クリエティブなプロジェクトには、それなりのデザインの概要(デザインブリーフ/Design brief)が必要不可欠です。

あなたがクライアントでもデザイナーでも、あるいはマネジャーである場合であっても、プロジェクトにおける目標とその影響範囲を完全に明確にしておくことはとても重要です。デザイン概要は、そのためのロードマップのようなものなのです。

デザイン概要とは1~2ページ程度の短いドキュメントで、そのプロジェクトにおける戦略について解説したものです。プロジェクトの目的を明確にした上で、目標達成のためのプランを開始するために必須の書類であると言えます。

あなたがどのようなタイプの顧客を持つデザイナーであっても、プランニングはあらゆるプロジェクトの土台となるものです。これまでデザイン概要を用いたことがないのなら、今こそ導入してみましょう。以下、デザイン概要の例です。

では、このデザイン概要を例にして、ここから実際にプロジェクトを始めていく上でどのようなことが分かるかといったことを見ていきましょう。

01. クライアントは何者か? 何をしているか?

どれくらいの規模の会社で、どれくらいの事業継続年数があるか。どういった商品やサービスを提供しているのか。また、顧客やクライアントの評判はどうかなどを確認しましょう。

この時にポイントなのは、セールス目的でのプレゼンのような自己紹介ではなく、何処かのパーティで出会ったときに聞くような情報を得られるようにすることです。

長くビジネスに携わっていると、どうしても売り込もうという意識が出てきてしまったり、そういうときに使う言葉使いになってしまったりします。もしもその内容が専門的な単語も入ってきて分かりにくいようであれば、それもかみ砕いて説明してもらいましょう。自社の好きなところや、何を誇りに思っているかなどを聞き出すのです。

02. プロジェクトの効果範囲

プロジェクトの内容は何か。どうしてデザインが必要なのか。また、どういった素材が必要なのかを確認しましょう。この時、以下のチェックリストを使うと良いかもしれません。

  • ロゴが必要なクライアントなら、そのデザインはフォント系か画像系か。
  • ウェブデザインのプロジェクトなら、デベロッパーは必要か。また、ワードプレスのテーマを持っているか。
  • デザイナーは広告キャンペーンや新たなブランディングについて全体的に責を負うのか。提供物について、どういったフォーマットで提出されなければいけないのか。
  • プリントファイルがある場合、サイズとフォーマットの指定はあるか。
  • ソーシャルメディアファイルがある場合、どのプラットフォームを用いているか。
  • デザイナーがレターヘッドを作成している場合、編集可能なワードのテンプレートは必要か。
  • 締め切りはいつか。複数の提供物がある場合、それぞれの締め切りについて明確になっているか。また、それぞれのタスクのプライオリティは確認したか。
  • 従うべき広告スケジュールがある場合、ブログカレンダーや公開のための締め切りなどについて確認したか。

重要なのは、キャンペーンの長さや用いられるプラットフォームの種類、デザインファイルの用途について明確にしておくということです。これにより例えば作成したロゴがオンライン上や紙面上で適切に見えるかどうか、他の要素と組み合わせた際に適切な見た目になるかといったことを、デザイナー視点で確認することができるのです。

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03. オーディエンスやターゲットとしている市場はどこか

顧客について、ターゲットとしている年齢層や人種、ジェンダーなどについて考えましょう。どういった分野の人が関係しているか、そのサービスをどれくらいの頻度で購入または利用しているかなども考える必要があります。あるいは、ターゲットとしている顧客についてペルソナを想定するというのも良いかもしれません。

04. 競合他社について

競合としてどういった企業が存在しているかを明確にすることで、全体像もはっきりしてきます。こうなれば戦略を明確化することも可能になり、他よりも目立つようにデザインを行う上でどういったことが必要かということも分かってくるのです。他の競合とどのように違いをつけたいか、顧客が他の競合と勘違いするといったことがないかどうか、あるとすればどういった場合かなどを掘り下げてみましょう。

例えば以下の写真は、どちらもコーヒーショップのものです。提供している商品がコーヒーであるというところは変わりませんが、Mad Cap Coffee Companyは明るく、アーバンな雰囲気であることが分かるでしょう。顧客は若く、新進気鋭のプロフェッショナルといったような人たちがターゲットとして想定されていることが分かります。

一方Coffee Supremeは自然を感じさせる、落ち着いて牧歌的な雰囲気です。年齢層は高めで、環境に関心のある人をターゲットとしていることが分かります。

how to write a design brief

How to write a design brief

05. どういった雰囲気やイメージを描き出すか

クライアントのイメージがどういったものであるかということを考えましょう。高級志向、フレンドリー、地球に優しいなど、色々なイメージが考えられます。また、クライアント自身が自分をどのように見せたいかということも考えてみる必要があります。

掘り下げて考えるべきは、クライアントが使いたいとしている色があるか、あるいは逆に避けたい色はあるか、ということです。例えば競合他社が青と緑を基調として用いているなら、それを避けることで目立つことができるかもしれません。あるいは、CEOが紫色のことを好きではないという場合もあるでしょう。こう言った情報を事前に知っておけることは重要なことです。

また、どういったフォントが良いかということも聞いておくと良いでしょう。serifのフォントか、sans serifのフォントか、それとも手描き風のフォントかなど、選択肢は無数にあります。直線的なフォントか流線的なフォントか、楽しげで暖かいフォントかあるいはクラス感を感じるフォントかなど、色々なことを確認してみましょう。また、どのような写真を使うことがあるかを確認すれば、デザインの"調子"が分かってくることもあります。

雰囲気をイメージするためのボードを作成しましょう。Pinterestを使うと簡単に作成できるのでお勧めですが、コルクボードなどに貼り付けるようなやり方でも構いません。あなたのアイデアの源泉になりそうなものを、雑誌だろうと色だろうと何だろうと、とにかく集めてみるのです。最初は色、それからフォント、フォントのバリエーションなどについて考えていくと良いかもしれません。

How to write a design brief

06. 最終的な目標は何で、それはどう判断されるか

クライアントの最終的な目標は何でしょうか。メールリストの登録者数を増やすこと、もっと顧客を獲得すること、知名度を高めること、商品やサービスの販売率を高めることなど、色々なパターンが考えられます。その最終的な目標と、それをどのように計るかということを確認しておきましょう。

例えば、新しいロゴを作るというだけではそのロゴが成功したのかどうかを知る術がありません。そのため、新しいロゴがどのように用いられるかを確認し、新たなビジネスプランにどのように取り入れられるかということを確認すると良いでしょう。

深掘りするなら、CTAについて確認しましょう。CTAによって商品の購入を促したり、何らかのサインアップを促したりするようなことがあれば、それも参考になるかもしれません。

07. 予算について

デザインに対する予算が、ウェブ開発部分と別個の予算枠になっているかどうかを確認すると良いでしょう。また、コピーライティングや写真撮影などの費用も含まれているかどうか、確認してみましょう。素材を印刷する必要があるなら、そのコストについても確認しておくと良いでしょう。

08. コンセプトの商人やプレゼンテーションはどのような扱いになるか

プロジェクトの主な窓口となる人がいるかどうか、また最終的な承認として誰のものが必要かということも確認しておきましょう。承認に複数の人員が関係している場合、その人たちの名前やメールアドレス、電話番号を聞いておくと良いでしょう。

また、チーム全体で共有できるよう、デザインの概要についてオンラインでシェアするのも良いアイデアです。クライアントのウェブサイトやデザインファイル、例などのリンクを入れておけば、必要に応じていつでも参照することができます。以下のConnect Communications Inc.の例では、報酬やプロジェクトの開始日などを含めた詳細な情報を一気に確認できます。

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09. これまで用いていたデザインやマーケティング素材はあるか

ウェブサイトだけでなく、現在用いられているものについて確認することも大切です。そのうち、どれが良いパフォーマンスを発揮していて、どれに改善の余地がありそうでしょうか。また、ブランドのガイドラインがあるかどうか、ロゴの作成フォーマット、フォントや色の指定があるかどうかも確認しておきましょう。

10. プロジェクトについて他の部分を担当している人はいるか

例えばデザインを作成する前に必要な情報について、他の誰かが提供してくれるのを待たなければいけないという場合などには、他の担当者がいるかどうかという情報はとても重要なものになります。ウェブサイトのコピーはコピーライターが書くのか、写真は写真家が撮るのか。そういったことを予め確認しておくことで、より確実にスケジュールを設定することが可能となります。

最初の打ち合わせが終了した時点では、以下のことを確認しましょう。

  • 必要事項について詳細に、かつ分かりやすく概要をまとめ、それをチームでシェアする。
  • クライアントのウェブサイトやソーシャルメディアプラットフォームへのリンクを追加する。
  • 全ての連絡先の名前や番号、メールアドレスを追加する。
  • 例えば自分がデザイナーを担当する場合、頭の中に沸いてくるアイデアが消えないうちに簡単にメモしておく。
  • 締め切りをカレンダーに反映させておき、タスクリストを更新する。

デザイン概要については、コンセプトを作り出すときに視界に入るところに置いておくことが大切です。デザインの作成前、そしてコンセプトの提示前に、必要な要素を満たしているかどうかを確認できるようにしておきましょう。

How to write a design brief

おさらい:プロジェクトを成功させるには、それなりのデザイン概要が必要

詳細かつよく練られたデザイン概要により、最終的な成果物もそれだけ良いものにすることができます。ターゲットとなるオーディエンスや予算、必要な素材の詳細なリストを保持し、最終的な目的とそれがどのように計られるかということを理解しておくことで、誰にとっても満足度の高いプロジェクト運営が可能となるのです。

成功するデザイン要項と失敗するデザイン要項

成功するデザイン要項とそうでないものの最も大きな違いは、必要な情報が全て含まれているかどうかという点です。見た目が美しくなくても構いませんが、少なくとも情報について必要なものが揃っているようでなければいけないのです。以下、3つの例を見てみましょう。

ケーススタディ1

How to write a design brief

1枚目はAndate Publishingのプロジェクト概要で、必要な情報が多く含まれていますが、欠けている情報も同程度という様子です。全体のプロジェクトがどういったものであるか、オーディエンスについて、その強みについては記載されていますが、連絡先となる人物の情報や、予算・締め切り、どのような調子でデザインしていくべきかということが明らかになっていません。

次に、2枚目のGlitschka Studiosのデザイン要項を見てみましょう。ここでも、プロジェクトやオーディエンスについて、様々なことが記載されています。しかし、どういった色を使うのが好ましいのか、どのような調子でデザインするべきか、印刷についての詳細、プロジェクトの成功度の測定方法などが明確ではありません。

ケーススタディ2

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最初のプロジェクト概要はPR Guy Onlineのもので、内容としてはかなり薄いものになっています。連絡先情報やプロジェクトの効果範囲などについては知ることができますが、予算や締め切り、競合に関する情報がありません。ここにないような詳細については実際の打ち合わせの際に確認すれば良いという風に考えられる場合もありますが、概要のテンプレートの中に予め落とし込んでおく方が確実なのは言うまでもありません。

2枚目の概要はTOMS Shoesのものです。非常に詳細なところまで網羅した内容になっていて、プロジェクトの目的、調子、メッセージ、TOMSに対する顧客の評判について把握することができます。また、テーマやブランドキャラクター、プロジェクトの承認のための確認欄もあります。

ケーススタディ3

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1枚目の概要(Laughing Guy Media)のものは、これもまた情報が少なすぎます。基本的なプロジェクトの目的は把握できますが、それもいまいち曖昧です。オーディエンスやプロジェクトのコンセプトについては確認できますが、調子や締め切りについては記載がありません。競合や、現在用いているマーケティング素材についても不明瞭です。

Krista Kennedyの方を見てみると、非常にクリーンで分かりやすくまとまっています。プロジェクトの効果範囲、連絡先情報、解決するべき問題、オーディエンス、素材の大きさ指定、全てのタスクの締め切りも、はっきりと記載されています。

デザイン作成の切り札