現役助産師が語るニューボーンフォトの世界

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人の人生を80年とすると、新生児期はたった0.001%にしか過ぎません。そんな僅かな時期に撮影するのが、ここ数年、日本でも流行の兆しを見せている「Newborn photo(ニューボーンフォト)」です。ニューボーンフォトは、ただ新生児を寝かせてシャッターを切れば良いというわけではありません。デリケートな時期だからこそ知っておくべき「知識」と、アートとして残すために必要な「技術」を、ニューボーンフォトグラファーは兼ね備えておく必要があります。今回は、現役助産師でニューボーンフォトグラファーでもある私が、ニューボーンフォトの世界をご紹介します。

ニューボーンフォトとは?

ニューボーンフォトは、生後28日未満の新生児期特有の体の柔らかさを活かし、まるでお腹の中にいるような神秘的な姿を写真に残します。他の撮影ジャンルとの最大の違いは、“眠っている時”に写すということです。「100日記念」や「七五三」などは笑っている写真を撮るのが一般的ですが、ニューボーンフォトはそれと真逆。この”眠り”は神秘さを表現するだけでなく、次で紹介するポージングを行う上でとても重要になってきます。

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ニューボーンフォトの発祥は?

オーストラリアやアメリカが発祥のニューボーンフォト 。海外ではウエディングフォトを撮影するのと同じくらい、ニューボーンフォトがとてもメジャーな撮影ジャンルとして浸透しています。

また、アメリカでは「Birth Announcement card(バース アナウンスメント カード)」と言って、新しい家族が増えたことを知らせるカードを送る文化があり、そこに写真を使用するといった目的でもニューボーンフォトの撮影をする人が多いのだとか。産婦人科に「ニューボーンフォト撮影」というメニューが組み込まれている病院もあるほどです。

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いつまでに撮影するの?

ニューボーンフォトの撮影に適した時期は、生後14日間前後と言われています。 新生児期の中でも身体の柔軟性が高く眠りが深いため、スムーズに撮影しやすいからです。 ただ、出生体重や出生週数によっても撮影にベストな時期というのは違ってくるので、これは一つの目安として覚えておいてください。

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ニューボーンフォトで行う”寝かしつけ”と”ポージング”

ニューボーンフォトの撮影を行う上で必要な、“寝かしつけ”と“ポージング”の技術。フォトグラファーはまず、ありとあらゆる方法で赤ちゃんの”寝かしつけ”を行います。なぜなら新生児期というのは、眠っている時間以外は常に筋肉が緊張している状態にあり、その状態ではスムーズにポージングを行うことができないからです。深い眠りに入り、力が抜けたタイミングになってから”ポージング”をつけていきます。ポージングにはいくつか種類があり、それぞれきちんと名前がついています。

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よくSNSで見かける、人気の頬杖ポーズは「Froggy pose(フロッギーポーズ)」と言います。こちらは頭を手で支えて撮影し、画像処理で手を消しています。

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うつ伏せでお尻が上がったポーズ「Bum up pose(バンアップポーズ)」

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じゃがいもの収穫袋のように、丸いということから名付けられた「Potato sack pose(ポテトサックポーズ)」。こちらも「Froggy pose」と同じく、頭を手で支えて撮影し、画像処理で手を消しています。

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シンプルに仰向けで眠っているポーズ「Sleeping baby pose(スリーピングベイビーポーズ)」

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仰向けで体が丸くなっているポーズ「Supine Curl pose(スパインカールポーズ)」

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顎の下に手がくるポーズ「Chin on hands pose(チンオンハンズポーズ)」

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ベッドやボウルなどを用い新生児の小ささを引き立たせる演出「Props(プロップス)」

ポージングによって難易度は変わり、「Froggy pose」「Chin on hands pose」などは難しい部類に入ります。撮影後に写真を合成して完成させるものもあり、「Froggy pose」や「Potato sack pose」はそれに該当します。コツさえ掴めば多くの赤ちゃんはスヤスヤと眠ってくれますが、ニューボーンフォトを始めた当初は、助産師といえど寝かしつけにとても苦労した経験があります。

また、各ポージングには首の角度、手の位置、足の出かたなどの細かい決まりがあり、それらを網羅しつつ、光とカメラアングルにこだわって写真が撮れるようになったのは、多くの経験を積んでやっとでした。

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デリケートな時期だからこそ、産後ママと赤ちゃんの知識が必要

撮影に適している時期は産後14日前後と言いましたが、その時期のママと赤ちゃんはとてもデリケートです。赤ちゃんに関しては、基本的な新生児の特徴(体温管理や関節のこと…etc)や、抱っこの仕方などをマスターしておく必要があります。

産後のママは笑顔で迎えてくれたとしても、不眠不休の育児の真っ最中。体力・メンタルともに本調子ではないということを頭に置き、労わる気持ちを持って接することが大切です。特に産後2週間というのは、メンタルが落ち込みやすいという統計も出ており、コミュニケーションを取る上で言葉選びは慎重に行いたいところです。

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最後に

私たちは、ニューボーンフォトを産後ケアの一環として捉えています。前述したとおり、産後2週間という時期はママのメンタルがとても落ち込みやすい時期にあたります。赤ちゃんのこと、授乳のことで不安や疑問がいっぱいの中、眠れない日々がさらにママを落ち込ませてしまいます…。そんな時に、「助産師と話すことで少しでもママの気持ちが軽くなれば…」という思いでニューボーンフォトを撮影しています。 そのため、撮影は全て出張スタイルをとっています。新生児期というわずかしかない時期を残すことは、赤ちゃんにとっても自分が大きくなった時に、親の愛情を感じられるきっかけになると思っています。

我が子の成長に自分が追いつかないまま、「気づけば新生児期が終わっていた」という方も多いのではないでしょうか?スマホなどで写真を撮るのも良いですが、人生の始まりの顔を記念写真として残しておくのはとても貴重なことだと思います。ぜひ、あなたも信頼できるフォトグラファーを探し形に残してはいかがでしょうか。

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ニューボーンフォトを活用した「Birth Announcement card」のテンプレート

写真&文:UMARE

関西地方出身。インスタグラムで見たバースフォトに感動して写真撮影を始める。助産師兼フォトグラファーの2名で沖縄を拠点に活動しており、バースフォト、ニューボーンフォトをメインに撮影している。

※バースフォト=出産時に撮影する写真

Webサイト:https://www.umare-mw.com/

Instagram:https://www.instagram.com/umare_mw/

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