ソーシャルメディアのキャンペーンにおける傾向とデザイン

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今や、企業・ブランドのPRツールとして欠かせなくなったソーシャルメディア。Instagramを中心に、ソーシャルメディア活用のトータルサポートを行なっているテテマーチ株式会社でデザインを担当する生駒さんに、最近のソーシャルメディアのキャンペーンにおける傾向やデザインについて教えてもらいました。

ユーザーが参加したくなるような仕掛けで参加意欲を掻き立てる

― 普段のお仕事内容を教えてください。

ソーシャルメディアを活用した、キャンペーン周りのデザインを担当しています。キャンペーンにおいて重要となる「LP」のほか、InstagramやTwitterなどの「ソーシャル広告」を主にデザインしています。LPなどWEBサイトのデザインを作る際、最初にヒアリングした内容をワイヤーフレームに落とし込んでいくのですが、このワイヤーフレームはデザイン全ての基礎となります。この時点で目的やターゲットが明確でないと、デザインを起こしたときに方向性が崩れてしまい、その後の進行がスムーズにいかなくなってしまいます。だからこそ初動の段階で、内容をしっかりと固めておくことが重要です。ワイヤーフレームできちんと構成内容を擦り合わせた後、ようやくデザイン制作に取り掛かります。第一稿のデザインではより具体的なデザインを提案し、「ここは派手にしたい」「ここをもっと強調したい」などクライアントの指示があればその時点で反映させます。そこから第三稿くらいで仕上げて、最終的にコーディングに着手していきます。また、LPを知ってもらうきっかけとなるソーシャル広告も同時にデザインしているのですが、全体のデザインに統一感を出し、同じキャンペーンとして整合性を持たせることを意識しています。

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ワイヤーフレームを専用のソフトウェアで作った後、さらに具体的に伝えるため手書きでラフを作ることも

― デザインを作るうえで意識していることは?

キャンペーンページの場合はやっぱり、ユーザーが見たときに「ワクワクする」などの参加意欲を感じてもらえることです。そのため、シンプルなデザインであっても動きをつけたり、装飾を散りばめるなど賑やかしを入れるなど工夫を施しています。

また、ページを訪れるユーザーが、求めている情報を手に入れやすい構成も意識しています。例えば、企業やブランドが「新商品を発売したこと」を一番に伝えたいと思っていても、ユーザーはLPに訪問したときの目的は「キャンペーンに応募したい」ということです。そんな時、キャンペーンへの応募が分かりづらく商品情報が目立ってしまうと参加意欲が下がってしまいます。もちろん、そんな中でもクライアントが伝えたいことはきちんと伝えないといけないので、ページ内スクロールを設置するなど、見てもらいやすい流れを意識して作っています。

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生駒さんが作成した、株式会社不二家の「ミルキー」を使ったレシピキャンペーンのLP。幅広い世代から愛され、誰もが知っているミルキーだからこそ、商品カラーやモチーフをページ全体に起用。ワクワク感が伝わってきます

参加ハードルが低く、興味を持ちやすいキャンペーンが成功の鍵

― 各ソーシャルネットワークで相性の良いキャンペーンは?

投稿をシェアしてもらうキャンペーンは、拡散力のあるTwitterと相性が良いですが、写真を活用するならやっぱりInstagramですね。Instagramのキャンペーンは公式アカウントをフォローしてもらうのが基本で、投稿にいいねをしてもらう「いいねキャンペーン」、撮影した写真と指定ハッシュタグを投稿する「投稿キャペーン」、商品を購入して撮影した写真を投稿する「マストバイキャンペーン」などがあります。マストバイキャンペーンの場合、他と比べてハードルが高いので、一般ユーザーが「商品を購入して写真を撮りたい!」と意欲を掻き立てられるLPが必要になってきます。

― そんな中、ユーザーからの反応を良くするには?

参加ハードルが低く、かつ興味を持ちやすいものの方が反応は良くなります。投稿する際のハッシュタグは一つだけに絞ったり、撮影する写真のイメージが分かりやすいよう「参考写真」を載せたり。バレンタインキャンペーンであれば、どんなチョコレートの写真でも投稿OKにするなど。

また、Instagramの広告には「ストーリー」と「フィード」の2種類がありますが、20代の若い層にはストーリーの反応が良い傾向にあります。普段からストーリーを頻繁に使っている人が多く、画面をすぐにタップして切り替えたり、一瞬で必要な情報か判断しているためです。そのため、ぱっと見でわかりやすいデザインや、動きをつけられるスライドショー形式の動画(静止画を組み合わせたもの)と相性がいいです。あとは、文字を配置する場所も重要になってきます。デザインを見るとき、人は上から目線を動かします。どんなキャンペーンかをすぐに判断してもらうため、キャッチコピーはデザイン上部に置く方がいいでしょう。Facebook広告もそうですが、Instagram広告はテキスト量が多すぎると配信できない場合があるので、限られた文字数の中、どう最大限に伝えていけるかを日々考えています。

<FEMMUE様 Instagramキャンペーン事例>

FEMMUE様 Instagramストーリー事例

Instagramの公式アカウントをフォローし、気に入った投稿に「いいね」をすると抽選で商品が当たるキャンペーンを実施。ストーリーを活用して2パターンでABテストを行い、上記は「キャンペーン訴求」のデザイン。シンプルに商品の写真を見せられるよう、余計な装飾は入れずにブランドのモチーフであるウサギを忍ばせて、遊び心を演出。もう一方のデザインはテイストも変え、抽選で商品が当たることをメインにした「プレゼント訴求」の打ち出しに。

<日華化学様 Instagramキャンペーン事例>

日華化学様 Instagramストーリー事例

Instagramの公式アカウントをフォローし、3種類の商品の中から気になる香りの投稿に「いいね!」をすると抽選で該当商品が当たるキャンペーンを実施。実際のストーリー広告では、商品3種類がスライドで切り替わる動画を起用。商品にフォーカスを当てたキャンペーンなので、3種類の香りを想像できるようなイラストを散りばめている。

最終的にどんな方向に持っていきたいかを明確に

― ソーシャルメディアを活用したキャンペーンで成功するには?

「とりあえずキャンペーンを打ちたい!」だけでなく、どんな目的があって、最終的にどういう方向に持っていきたいのかをはっきりさせることだと思います。単純ですが一番重要な部分です。デザイン面ではもちろん、どんなキャンペーン内容にするか、どんなツールや手段で発信していくかにおいても大切です。それをもとに、デザインやコーディングでいかに魅力的に表現できるかが私たちデザイナーの役割だと思っています。そのため、ブランドの公式サイトやアカウントはもちろん、ターゲット層がどういうものに興味があるのかまで研究する必要があります。

基本的にデザインをお送りするときには、どういう意図があって実装しているのかをきちんとテキストで補足して、納得してもらったうえで進めていきます。デザインひとつで、興味を持ってもらえるかそうでないかが変わってきます。まずは商品やサービスを知ってもらうきっかけを作らないと、購入したいかしたくないかの判断もしてもらえません。これからはますます、店舗で商品を購入していた時代からインターネットで購入していく時代に流れていくので、企業やブランドにとってWEBサイトやソーシャルを活性化させていくことは、とても重要だと感じています。

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複数パターンを作ってABテストを行い、ユーザーの反応を見る

― それでは、キャンペーンの効果測定の指標は?

InstagramもTwitterも「フォローしていいね」や「フォローして投稿」など、フォローを必須とするキャンペーンがほとんどなので、やはり指標はフォロワー数になってくると思います。私が担当するソーシャル広告では、より良い反応を検証するため、「ストーリー2種類」「フィード2種類」の計4種類でABテストを行うことが多くあります。例えば、「当選するプレゼントの内容をメインにしたもの」と「キャンペーンの内容をメインにしたもの」など、比較しやすいものをデザインし、同時に発信していきます。やはり正解をもっているのはユーザーなので、複数のパターンをユーザーに発信して検証できるABテストはとても重要です。そして、その反応を見ながら配信する広告を絞ったり、内容の変更を行っていきます。弊社で運営している「ベジ部」というメディアのソーシャル広告でもABテストを行い、その結果をクライアントへの提案に活用しています。

― シェアしたくなる仕組みを作るには?

Twitterであれば、リツイート数が増えると「プレゼント内容がグレードアップする」「当選組数が増える」「選択肢が増える」という仕組みにすると、拡散するほど内容が良くなるのでシェア数が増えやすいですね。あと、「あなたはどっち派?」などのように、ユーザーが参加できる「投票型」も良いと思います。その場合、スマホの表示で上下に表示されると選択肢に優劣が出てしまうので、並列に見せるよう意識して作っています。

― 最後に、生駒さんにとってデザインとは?

私にとってデザインとは、「企業とユーザーを結びつける架け橋」ですね。デザインの可能性は無限大で、突き詰めれば突き詰めるほどいろんなことが見えてくる。正解や不正解はなく、どこかで終わりというのものではない。そこがデザインをやっていて楽しいところだな〜と思います。

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<CanvaでInstagramストーリーをデザインしてみよう!>

Canvaではテンプレートを使って、Instagramストーリーのデザインを簡単に作成することができます。写真はもちろん、動画での編集も可能です(PCブラウザとの併用でアニメーションGIFも作成可能)。 Instagramストーリーの作成はこちらからも作成できます。

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生駒 春奈(いこま はるな)

奈良県出身。テテマーチ株式会社所属のWEBデザイナー。幼少期からダンスを始め、ミュージカルの子役としてデビューをするタイミングで家族揃って上京。10代は舞台女優として活動していたが、怪我により芸能活動を引退し、「とにかくやってみたいことをやろう!」とレンタル彼女サービスを提供する会社に入社。業務でサイトのコーディングやPhotoshopを使っているうちに、これを仕事にしたいとWEBデザイナーの道へ。

テテマーチ株式会社

Instagramを中心に、ソーシャルメディア活用のトータルサポートを行っている。企業担当者向けインスタグラムマーケティングメディア「インスタアンテナ」を運営。

https://tetemarche.co.jp/

https://insta-antenna.com/

写真/末吉理紗子

デザイン作成の切り札