最終更新日 : 2026年6月16日
誰でも簡単に使えるデザインツール「Canva(キャンバ)(新しいタブまたはウィンドウで開く)」では、日本でのマーケティング活動を紹介する連載をスタートしました。
その第1弾となる今回は、2024年に放映された北野武さん・劇団ひとりさん出演のテレビCM施策についてご紹介します。
テレビという媒体を選んだ理由、制作過程で直面した課題、そしてCanvaが日本でどのようにブランディングを進めたのかについて、Canva Japan株式会社のカントリーマネージャー・高橋敦志と、ブランドマーケティング部門長・山吉あすみが語りました。
テレビCMを検討している方はもちろん、ブランド強化のヒントを探している方にも参考になる内容です。テレビに限らず、さまざまな施策に応用できる学びを詰め込みました。
記事の最後では、CMで使用された「柴犬のスイミングスクールのプレゼン資料」のテンプレートもご紹介しています。無料でお使いいただけますので、ぜひ最後までご覧ください。
黒塗りの高級車の中で始まるこのCMで、北野武さんが「柴犬のスイミングスクールのプレゼン資料を自分で作った」と自慢すると、劇団ひとりさんは「ウッソだぁ」と全力で否定。
その言葉に突然、表情を変えサングラスをかける北野さん。気づけば劇団ひとりさんは、寂れた空き地で穴を掘らされる――。
SNSでは「これ何のCM!?」「北野映画かと思った」など、ざわつく声が続出しました。
実はこれ、オンラインで使える無料のデザインツール「Canva(キャンバ)」のCMです。
「信じられないほど、素晴らしく」というタグラインには、「誰でも驚くほど簡単に、想像以上のデザインが作れる」というCanvaのツールの魅力が込められています。
これまでSNSや口コミを通じてじわじわと広がってきたCanvaですが、「日本中すべての人に、デザインの力を届けたい」という想いを実現するには、もう一歩踏み込む必要がありました。
そこで選んだのが、「テレビCM」という手段です。ただの認知拡大ではなく、Canvaというサービスそのものへの信頼感や親しみを持ってもらうことも狙いの一つとなりました。
Canvaは、2013年にオーストラリア・シドニーで誕生したオンラインデザインツールです。
現在では、月間アクティブユーザー数は世界で2.2億人以上、これまでに作られたデザイン数はなんと400億を超え、世界中で愛用されるサービスへと成長しています。
日本に上陸したのは2017年。おしゃれなSNS投稿(新しいタブまたはウィンドウで開く)やプレゼン資料(新しいタブまたはウィンドウで開く)が作成できると、デザインに関心のある個人やSNSクリエイター、ビジネスパーソン、教育関係者などの間で口コミを通じて少しずつ広がり、国内でも認知度を高めてきました。
その後、Web広告(新しいタブまたはウィンドウで開く)・SNS(新しいタブまたはウィンドウで開く)・SEOといったデジタルマーケティング施策(新しいタブまたはウィンドウで開く)に力を入れてきたCanvaですが、日本でのさらなる認知度向上を見据えて、今回ついにテレビCMというマスアプローチに踏み切りました。
テレビというチャネルは、幅広い層に一気にメッセージを届けられる一方で、視聴者の印象に強く残すことが重要です。
そこで今回ご一緒したのが、日本を代表するタレント・北野武さんです。北野さんの独特の世界観を活かし、映像そのものが話題になるようなストーリーに仕上げました。
今回のCM展開の背景にあるのは、「日本中すべての人に、デザインの力を届けたい」というCanvaの強い想いです。
つまり「特定の誰か」ではなく、“すべての人”をターゲットとしました。年齢や職業、住んでいる地域を問わず、あらゆる人々にCanvaの存在を知ってもらうには、偏りなく幅広い層に届くメディアが必要でした。
テレビは今なお、世代を超えてリーチできる、数少ないプラットフォームのひとつです。
もちろん、ただCMを流すだけでは印象には残りません。だからこそ私たちは、広告代理店とともに「話題になるCMを作る」という明確なテーマのもと、企画からクリエイティブまでを綿密に設計しました。
そこで重要な役割を果たしたのが、世代を超えて愛される大物タレントの起用と、インパクトあるストーリー設計です。Canva Japanとして初めてのテレビ広告だからこそ、世の中の関心を一気に集める“きっかけ”が必要でした。
SNSやメディアでの拡散を見越した上で、「一度見たら忘れない」ようなCMづくりを目指しました。
テレビCMは、そのリーチ力こそ圧倒的ですが、視聴者の反応を具体的な数字で把握するのが難しいという側面もあります。そこでCanvaでは、テレビ放映と同時にYouTubeでもCMを配信し、オンラインならではの「見える効果」を最大限に活用しました。
YouTube広告(新しいタブまたはウィンドウで開く)の大きな利点は、視聴完了率やクリック率といった具体的なデータをリアルタイムで取得できること。
中でも私たちが注目したのが、「完全視聴率(動画を最後まで見た割合)」です。この指標をもとに、ユーザーの興味関心やストーリーへの没入度を測ることができました。
また、テレビでは尺の制約から30秒バージョンのみの放映でしたが、YouTubeではフルストーリーを体験できるロングバージョンを展開。これにより、視聴者からは「続きが気になって最後まで観てしまった」など、SNS上で多くのポジティブな声が寄せられました。
テレビでは“幅広く”、YouTubeでは“深く”。この両輪をかけ合わせたことで、認知の広がりだけでなく、ブランド理解や共感の醸成にもつながるキャンペーンとなりました。
Canva Japanとして初めて挑戦したテレビCMの制作。このプロジェクトを通して、多くの気づきと学びを得ました。ここでは、その中から特に印象的だった4つの学びをご紹介します。
CM施策を成功に導くうえで最も重要だったのは、「代理店との強い信頼関係と協力体制」でした。
プロジェクトをリードした当時のブランドマーケティング部門長・高橋は、もともと代理店出身。その経験を活かし、制作フローの進め方からクリエイティブへの向き合い方、トラブル発生時の思考回路に至るまで、代理店と「共通言語」を持ってコミュニケーションを図ることができました。
特に印象的だったのは、初期フェーズにおける徹底的なすり合わせです。通常であれば数時間で終わるような初期ディスカッションに、私たちは丸3日間をかけました。
Canvaというブランドが大切にしている世界観、CMが果たすべき役割、ユーザーに届けたい感情や体験。それらを一つひとつ丁寧に言語化し、共有し、咀嚼し合う時間をしっかりと確保しました。
このプロセスを経たからこそ、制作中に迷いが生じた際にも「立ち返る軸」が生まれ、クリエイティブの方向性がブレることはありませんでした。
こうした信頼に根ざした協力体制は、テレビCMのような大規模施策に限らず、日々の制作業務にも通じるものだと感じています。
CM制作の過程では、数え切れないほどのアイデアや演出案が行き交います。その中で、クオリティを一段階引き上げるために欠かせなかったのが、「評価とフィードバックの精度」でした。
Canvaチームでは、代理店と議論しながらプロジェクトを前に進めるために、独自のクリエイティブ評価スコアカードを作成。このスコアカードは、代理店から提案された企画やストーリーに対して、「主観」ではなく「共通の評価軸」に基づいて判断するためのものです。
例えば、「問題解決の流れがクリアになっているか」「シズル感があるか」「インパクトのある仕上がりになりそうか」など、複数の観点をスコア形式で整理。これにより、チーム内の評価基準が統一され、誰が見ても納得感のあるレビューが可能になりました。
この仕組みによって得られたのは、社内の意思決定のスムーズさだけではありません。
代理店にとっても、感覚的な「いい」「悪い」ではなく、どこがどう評価され、どこに改善余地があるのかが明確になることで、フィードバックを次の提案に即座に活かせるという大きなメリットがありました。
「具体的に、どうすれば良くなるのか?」という問いにきちんと答えられるフィードバックは、信頼関係を強化すると同時に、クリエイティブの完成度を大きく押し上げる力になりました。
今回のテレビCM施策は、単なる広告キャンペーンにとどまらず、Canva Japanにとって“ブランドの原点”を見つめ直す貴重な機会でもありました。
テレビCMという大きな発信の場に立つ前に、「Canvaとはどういうブランドなのか」「どんな世界観を描きたいのか」などを、改めて自分たちに問いかけました。
▼ブランディングを考えるときに自分たちに問いかけたい質問
特に、日本というローカル市場において、どんなメッセージが共感を呼び、どんな世界観が届くのか。グローバルの枠組みにとらわれず、日本独自の文脈でブランドを再解釈するプロセスが、クリエイティブ全体の方向性に深みをもたらしました。
表面的な表現ではなく、「私たちは何者なのか?」という問いに立ち返ること。それこそが、広く・深く・届くクリエイティブを生み出すための第一歩であると、あらためて実感しました。
テレビCMでどれだけ印象的なメッセージを発信しても、そのあとにユーザーが体験するプロダクトやサービスとの間にギャップがあれば、ブランドへの信頼は一気に揺らいでしまいます。
だからこそCanvaでは、今回のテレビ施策を機に、「CMで語ったことが、実際の体験としてきちんと届いているか」という視点で、あらためてプロダクトやブランド表現の細部を見直しました。
たとえば、テレビCMで掲げたタグライン「信じられないほど、素晴らしく」は、キャンペーンの象徴ともいえるメッセージです。
この言葉を単なるキャッチコピーに終わらせないために、Canvaのホームページを全面的にリデザイン。ファーストビューにはタグラインを大きく配置し、サイトを訪れたすべての人がCMと同じ世界観を感じられるようにしました。
さらに、Canvaの印刷サービス「Canvaプリント(新しいタブまたはウィンドウで開く)」で送付される梱包ボックスにも、「信じられないほど想いが伝わる」という遊び心あふれるフレーズを追加。箱を開ける瞬間にもブランドらしさが感じられるようにしました。
また、日本での初のテレビCMというタイミングで、新たに日本語専用ロゴも制作しました。「Canva」の右上に「キャンバ」とカタカナを添えたこのロゴは、初めてブランドに触れる方にも親しみやすく、読み間違いを防ぐ工夫が込められています。
フォントも、やわらかさと親近感を感じさせるものを採用し、ブランドのトーンを視覚的にも伝えています。
このように、テレビCMで発した“ブランドの約束”を、体験として提供すること。それは、ユーザーとの長期的な信頼関係を築くための基本であり、マーケティングにおける最も大切な考え方のひとつです。
その信頼構築を日々の業務で実現するために、Canvaでは「ブランドキット(新しいタブまたはウィンドウで開く)」という機能を提供しています。ブランドキットでは、企業や個人のロゴ・フォント・カラーなどをあらかじめ設定でき、誰がデザインしてもブレない、一貫性のあるブランド表現を実現できます。
プレゼン資料やSNS投稿、広告バナーなど、すべてのタッチポイントでブランドらしさを保つことができるこの機能を、ぜひCanvaでご体感ください。
今回のテレビCM施策を通して、Canva Japanが得た4つの学びは以下の通りです。
また今回のテレビCMは、Spikes Asia 2025にて「ユーモアの活用」部門にてシルバーを受賞しました(新しいタブまたはウィンドウで開く)。さらに、受賞には至らなかったものの、カンヌライオンズ・アワードのフィルム部門においてショートリスト(最終候補)にも選出されています。
まさに「信じられないほど素晴らしい」評価を得ることができました。
そして、この取り組みが大きな反響を呼んだことを受け、Canvaでは 2024年の年末から 2025年の年始にかけて、第2弾となる新たなテレビCMも放映しました。今回は、テクノロジー企業であるCanvaだからこそできる「心温まるストーリーでブランドを伝える」ことをテーマに据えています。
Canvaでは、AIや自動化といった革新的な技術を提供する一方で、人々の暮らしに寄り添い、感情にふれるブランドでありたいと考えています。
ただ便利なだけでなく、「なんだか好き」「ずっと使いたい」と思ってもらえる存在になるために、体温のあるコミュニケーションにも取り組んでいます。
Canvaはこれからも、日本におけるブランド体験の質を高めるべく、マーケティングとブランディングの両面から挑戦を続けていきます。
もしこの記事に少しでも共感いただけたら、ぜひSNSなどでシェアしていただけると嬉しいです。一人でも多くの方に「デザインの力」が届くことを、心から願っています。
最後に、北野武さん&劇団ひとりさん出演のCMで使われた「柴犬のスイミングスクールのプレゼン資料」のテンプレートを、今回特別にCanvaで無料公開します!
以下のテンプレートをクリックすれば、どなたでもCanva上で自由に編集し、自分だけのプレゼン資料として活用いただけます。
もちろん、CanvaのAI機能を使って資料内容をアレンジしたり、ブランドキットを使ってオリジナルのトーンに仕上げることも可能です。
ぜひ、Canvaで「信じられないほど、素晴らしい」デザイン体験をお楽しみください!