相手の印象に残るようなデザイン性の高い名刺は、デザイナーのセンスによるものだけではありません。 きちんとした名刺のルールを守って作成されています。
そのため、「センスのあるデザイナーでなければ魅力的な名刺は作れなさそう……」 といった心配はいりません。
見やすく相手の印象に残る名刺作りのためには、フォントや文字の情報量を意識し、適切なレイアウトに沿った配置が大切です。
名刺のレイアウトには基本ルールがあります。ここでは、名刺のレイアウトで意識すべき5つのポイントと、デザイン上の注意点を紹介します。
名刺のレイアウトは無数にありますが、デザインの方向性を見ていくと、いくつかのパターンに別れていることがわかります。
以下の5つの例をもとに確認しましょう。
文字を左揃えにした、シンプルな名刺のレイアウトです。 文字のフォントには明朝体を用いることで繊細な印象を与えます。 右側に半透明のロゴを入れることで、主張しすぎずバランスのよいレイアウトになっています。
会社勤めの方からフリーランスの方まで、幅広く活用できるレイアウト例なっています。
この名刺テンプレートは、Canvaのアプリで利用できます。
左上に所属する会社名、その直下に肩書き、右側に名前や各種連絡先を配置した、シンプルなレイアウトです。視線の移動を促しやすく、受け取った相手に必要な情報をもれなく伝えられる作りになっています。
会社に所属する方や、自分で事業展開されている方に向いているレイアウト例です。
カラフルでポップなデザインのレイアウトです。 企業のロゴマークのカラーを意識したデザインになっているのが特徴的。 中心に肩書きと名前を配置することで、見る方の意識が集中しやすいレイアウトになっています。
印象深い名刺を作りたいという方におすすめのレイアウトです。
パン屋など、小売業向けのレイアウトです。 表面はパンの生地をイメージさせる2色に店舗名のカラフルなデザイン。 裏面はポイントカードを兼ねており、店舗の宣伝とリピーター獲得の両方への効果が期待できます。
パン屋など、事業展開されている方に向いています。
花や植物のイメージ重視のレイアウトです。花屋を展開する方向けといえるでしょう。 店舗名や名前など必要な情報と、趣のある植物のイラストで優しさのある印象を与えられます。
名刺の作成に取り掛かる際には、まず全体のレイアウトを決めることが重要です。 以下の5つのポイントを意識しましょう。
名刺に記載する主な要素は以下の通りです。
レイアウトの優先順位が決まったら、同じ要素を持つ情報同士をまとめることが大切です。 近い要素を持った情報をまとめて表示することで、名刺を見た際に内容をパーツごとに認識しやすくなるのです。
例えば、以下の要素がまとめられます。
要素が異なるもの同士は少し離して配置するのがポイントです。
要素ごとに情報をまとめたら、全体のレイアウトを整えていきます。
全体のレイアウトのポイント
横型名刺の左揃えのレイアウトの特徴
縦型名刺のレイアウトの特徴
名刺の大まかなレイアウトが決まったら、使うフォントも意識しましょう。使用するフォントは絞ったほうが読みやすく、統一感を与えられます。
複数の書体を使う場合は住所と各種連絡先など、要素が近いものは統一したほうが見やすくなります。 名刺に利用されるフォントとしては、ゴシック体や明朝体などが一般的で人気があります。
また、統一感に欠けたレイアウトの場合、同じ文字サイズでもフォントによって大きさが微妙に異なるため、デザイン上の違和感が出るだけでなく、視認性を下げてしまう要因にもなるので注意しましょう。
名刺のレイアウトにおいて、余白は非常に重要な意味を持ちます。 ある程度の余白を残しておいたほうが、文字が強調されて印象付けやすくなります。
余白は文字の間隔でも意識します。文字間に余白を設けることで目立ちやすくなり、要素同士の統一感を引き立てられるのです。
全体的なレイアウトを考える際には、余白の範囲を決めてからデザインの作成に入るのが効果的といえるでしょう。
名刺のレイアウトでは、守るべきポイントとは別に意識すべき注意点があります。 レイアウトの際にありがちな注意点をまとめました。
順番に確認しましょう。
2章では名刺に入れる情報の優先順位について紹介しましたが、あまりにも情報を詰め込みすぎるのはよくありません。名前や肩書きなどを強調したい場合は、なるべく載せる情報を少なくするために、必要な情報を絞り込むことが大切です。
どうしても必要な情報が多くなる場合は、名刺を二つ折りタイプにしたり、裏面に情報を分散させるなど、読み手が一度に受ける情報量を整理するとよいでしょう。
フリーランスなどの場合は、名前と仕事内容が目立つように配置しやすいため、必要最低限の情報に絞ったレイアウトがしやすいといえます。
情報を整理してもまだ多いと感じる場合は、関連する要素の行間を詰めたり、複数の要素を1行にまとめたりするのが効果的です。
電話番号やメールアドレスなど、各種連絡先は同じ要素に属するため、行間の調整ができます。 行間は狭すぎても開きすぎても見栄えがよくないため、名刺全体のレイアウトを確認しながら調整しましょう。
各種連絡先などの要素は、1行にまとめてしまうことで、すっきりとした見せ方にできます。 メールアドレスやWEBサイトのURLなどの並列できる情報が該当します。
また、フォントのサイズは最小でも6〜7ptにしましょう。それ以下のサイズの場合は、人によって視認性が下がってしまいます。
文字は左右ギリギリに配置するのではなく、内側に少し余裕を持たせましょう。 全体的なまとまりが失われるだけでなく、印刷時に見切れてしまう恐れがあるからです。 目安として、印刷時の仕上がりサイズよりも3㎜以上内側に文字を配置するよう心がけましょう。
印刷の仕上がりまで考えたレイアウトを考えておくことが大切であるといえます。
名刺のレイアウトを作成する場合、テンプレートの活用がおすすめです。 すでに文字の配置や全体のバランスが整っているため、名前を入れ替えたり好みに合わせて各部を調整したりするだけで、見栄えのよい名刺を完成させられます。
名刺作成には高価なソフトは必ずしも必要にはなりません。 パソコンやスマートフォンで無料で利用できる、Canvaというアプリがおすすめです。
Canvaには名刺用の豊富なテンプレートが用意されています。 ビジネスカードを含めると50,000種類以上のテンプレートを利用できるため、好みに合わせたデザインを見つけやすいといえるでしょう。
ここでは、3種類の名刺のテンプレートを紹介します。
【フリーランス向け・シンプルなデザイン】
名前を職業が目立つシンプルなデザインのテンプレートです。 デザイン全体にまとまりがあり、上品な印象です。 テンプレートでは翻訳家になっていますが、文章を仕事にしている方の利用も向いているといえます。
【事務系の仕事向け・右揃えのデザイン】
税理士事務所に勤務する方用のテンプレートです。右揃えのデザインとなっており、細めの文字で硬く上品な印象を受けるため、事務系の仕事をしている方に向いているといえます。 独自のロゴマークなどをお持ちの場合は、フリーランスの方も採用できる汎用性の高い内容になっています。
【フリーライター向け・インパクトのあるデザイン】
名前と仕事内容を前面に押し出した名刺テンプレートです。 各種連絡先の他、目立つロゴや利用しているSNSのアイコンを表示するなど、名刺を受け取った方とのスムーズなやりとりができるようにデザインされているのがポイントです。
気に入ったテンプレートを見つけたら、名前を変更したり文字サイズを調整したりと、自分用の名刺作りをめざして色々と試してみるとよいでしょう。
Canvaには最初から豊富なテンプレートや無料の素材が揃っていますが、自分でデザインしたロゴマークやフリーの写真素材をアップロードしてデザインに利用できます。
Canvaが用意しているアイコン素材を用いてレイアウトをカスタマイズすることが可能です。
花火風のロゴマークを、イナズマ状のマークと変更しました。テンプレート以外から豊富なパーツを持ってこられる点が、デザインの自由度を高めています。
SNSの各種アイコンもQRコードに置き換えることで、アクセスしやすくするなどの工夫ができます。
テンプレートによっては、名刺の両面ともデザインできるものがあります。 表面に名前や仕事内容、ロゴなどを大きく表示し、裏面に住所や連絡先などを記載すれば、情報量をバランスよく分散させられます。
裏面の余裕があるスペースには、WEBサイトやSNSのアドレスやQRコードなどを配置すれば、自分のこれまでの仕事内容を迅速に把握してもらいやすくなるでしょう。
テンプレートをもとに作成したデザインは、そのままダウンロードできます。 右上の「名刺を印刷する」のタブから、「ダウンロード」を選択しましょう。
保存形式を選べるため、画像データの劣化が少なく印刷に適したPDF形式でダウンロードしましょう。 保存したデータは自宅のプリンターや、WEB上のネットプリントサービスにて名刺印刷が可能です。
Canvaの編集画面から直接印刷を依頼することができます。 印刷用の紙質を選択肢、枚数を決めて印刷を依頼します。 料金は印刷する枚数に合わせて変動するので、必要な枚数だけ選ぶようにしましょう。
名刺のデザインにはルールがあることがわかりました。 レイアウトの配置においては、しっかりとルールを把握しておけば、見やすく相手の印象に残る名刺の作成が可能です。
上記を意識し、必要な情報を要素ごとにバランスよく配置すれば、デザイナーでなくてもクオリティの高い名刺を作ることができます。
今回紹介したテンプレートをうまく活用することで、名刺デザインの幅が広がるはずです。 イメージに近いテンプレートを元に、しっかりとレイアウトが施された名刺を作成してみましょう。
すべて表示