初心者向けロゴ作成講座

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ロゴとは、会社の顔です。ブランドのアイデンティティにとっても重要な部分であるロゴをデザインするとなれば、最善を尽くし、人の記憶に残るようなものを作りたいと思うのが当然でしょう。しかし、具体的にどうすれば良いのでしょうか。今回は、Finch BrandsのクリエイティブディレクターであるJessica Koffmanと共に、ロゴをデザインすることについて深く掘り下げていきましょう。

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ブランディングについて考えるとき、ロゴ以上に重要なデザイン資産はありません。ロゴはビジネスにおける最前線のビジュアルアセットであり、ウェブサイトや名刺、製品パッケージなどあらゆるところに用いられることになります。ロゴを利用しないところを探す方が難しいかもしれません。

ロゴは人の目に触れる部分ということもあり、ロゴが担っている役割はとても重いものになっています。クライアントや消費者にブランドとして何者であるかを伝えるのは、それだけの大仕事なのです。「ブランドが提供するサービスとロゴが調和していなければなりません」とJessica Koffmanは言います。「一般的なファッションやアートとは異なり、ロゴの役割は単なる装飾ではありません。メッセージを伝えることがそこには含まれているのです」

つまるところ、ロゴをデザインするのはとても重要な仕事であり、正しいやり方を知っておくこともまた重要であるということです。しかし、どうすれば競合よりも人の記憶に残るような、アイデンティティを正しく伝えながら理想の消費者にリーチできるようなロゴをデザインすることができるのでしょうか。

まずするべきこと:調査する

ロゴをデザインするための最初のステップは、デザインそれ自体よりも前段階にあります。デザインをする前に、徹底的に調査が必要なのです。

「業界にどのようなものがあるかを研究しましょう。印象的なものを作りたいなら、オーディエンスのレーダーに頻繁に現れるものを理解し、そのコンテキストに合わせてブランドが現れるようにする必要があります」とKoffmanは言います。「自分の業界や、似たような業界を調査しましょう。競合を含め、とにかく状況を研究するのです。自分自身が好きなものだけでなく、好きでないものについても調査を行うことを怠らないようにしてください。業界について充分に知り尽くしたと満足できるまで、そういった調査を継続することが必要です」

同業界で他のブランドがどういったことをしているかを知ることにより、業界で何が功を奏し、あるいは奏していないのかということが分かるようになります。また、業界の傾向が分かるため、これから意識して距離を取ることで、競合他社と差別化することもできるようになるでしょう。こうして隅から隅まで調べ上げた情報をもとにして、いよいよデザインを行っていく段階に入ります。

「(調査を行った後は)トレンドや類似性をビジュアル的にグルーピングしてまとめることで、ロゴを作成する上で色々なことが分かります。その他大勢からの差別化のために、ぜひ必要なプロセスだと言えます」とKoffmanは言います。

常にインスピレーションを求める

調査をしている段階で、ロゴのデザインについて様々なインスピレーションを受けることになるでしょう。しかし、それだけで満足してはいけません。

ロゴのインスピレーション元は、他のブランドのロゴだけとは限りません。インスピレーションの種はどんなところにも溢れています。注意深く探せば、「まさか」と思うようなところからインスピレーションを得られる場合もあるでしょう。

ロゴのデザインをしていくというのは、誰かを好きになりながら、あるいは失恋を経験しながらラジオに耳を傾けるようなものです。突然、全ての曲がまるで自分のことを歌っているかのように感じることがあります。それまではそう感じることもなかったのに、まるで自分自身の人間関係を歌っているような歌詞が耳に入ってくることもあるでしょう。そうした体験に、きっと驚くはずです。(Koffman)

「あるいは次のように言うこともできるでしょう。ロゴのデザインに真摯に向き合っていれば、インスピレーションの方からあなたを見つけてくれるのだと。独特の色使いのトラックが近くを通りかかったときに何かに気付くかもしれませんし、街中の巨大看板から新しいフォントの形を得ることもあるかもしれません。素敵な夕日の色から、デザインの色使いの着想を得ることもきっとあるでしょう。目と心を開いて、飛び込んでくるもの全てを受け入れることが大切です」

『違い』を確立する

デザインを始めるに当たって他にこなしておくべきことは、POD(Point Of Difference:差異ポイント、差別化できるポイント)について明確な視点を持っておくことです。

PODとは、そのブランドを特別なもの、他とは違うもの、ユニークなものにしてくれる要素のことです。競合から一歩抜きんでるための要素であるとも言えるでしょう。理想的な顧客に、市場にあるその他多くの選択肢からあなたを選んでもらうためのポイントでもあります。これがロゴデザインにも活かされていなければなりません。

「ロゴには、そのブランドを何が差別化しているか、ブランドがどういったアプローチで内外のオーディエンスにユニークなものを届けているかということが真実味をもって表現されていなければなりません」とKoffmanは言います。

もしも自社のPODが分からないという場合でも、問題はありません。少し時間を掛けて、これからPODについて考えていけば良いのです。例えば、次のような質問を自問自答してみましょう。

  • 自分のブランドが市場の他のブランドと比べて優れている点はどこか。
  • 自分のブランドの最大の長所は何か。
  • クライアントや消費者から得られた称賛でベストのものは何か。
  • 三つの言葉で自社ブランドを説明するとしたらどうなるか。
  • 自社のチームは、自社で働く上で何が一番気に入っているか。
  • ブランドとしての業績で最も誇りとしていることは何か。

自社をユニークなものとしている要素について明確に理解すればするほど、ロゴのデザインを通じてそれをより伝えられるようになります。

デザインで差別化するのではありません。違いをデザインで伝えるのです。優れたデザインのロゴは、直感的かつ分かりやすく、こうしたメッセージを伝えることができます

ロゴの要素を理解する

実際にロゴをデザインする前に、ロゴを構成する要素について見ておきましょう。

ロゴのスタイル

最初に考えるべき要素は、どういったスタイルのロゴが自社ブランドや美学に合っているかということです。クールでビンテージ感のあるスタイルのロゴが良さそうでしょうか。それとも、よりモダンでミニマル的なデザインがブランドを表していると言えそうでしょうか。どういったスタイルを採用するかを考えることで、判断の参考とすることができるでしょう。

ロゴのタイプ

次に考えるべきは、どういった種類のロゴが良いだろうかということです。ロゴの種類として、代表的な5つのパターンを見てみましょう。

シンボル:単一のシンボルやアイコンなどを使ったロゴ

こういったロゴにはブランド名が付与されていることも多いものですが、一度浸透すればテキストがなくてもロゴだけで認知されることが可能となります。

ワードマーク:ブランド名を特別なフォントで示したもの

レターマーク:一般的にはブランドのイニシャルや頭文字などを用いて、それをシンボルやアイコンとするロゴ

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The House of Chanel is well known in the fashion and beauty industry

コンビネーション:シンボルとワードマークを組み合わせたもの

エンブレム:シールや紋章のように見えるロゴで、デザイン内に会社名が含まれているもの

色使い

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Photo by Sharon McCutcheon on Unsplash

次に注目するべきは色です。ロゴに色を使うときには、できるだけ色を少なくすることで多くを表現することができることを覚えておきましょう。極彩色とも言うような色使いでは、見た目にうるさくなってしまう場合もあります。一般には、4色以内に抑えるのが良いとされています。

どんな色を使うかは戦略的に決定しなければなりません。人は特定の色を見ると色々なものを連想するものです。これを利用することで、効果的なロゴを作成することができるでしょう。例えば、金融関係のコンサルタント会社なら緑や青を使うと良いでしょう。緑は人にお金をイメージさせる色であり、青は信頼感を抱かせる色だからです。あるいはちょっと贅沢な香水を販売しているということであれば、黒と紫の組み合わせはどうでしょう。黒は最も洗練された印象を与える色であり、紫は高貴さを感じさせます。

その他、色に関する諸々については、この記事やこの記事が参考になるでしょう。

グラフィック

あるシンボルをロゴに融合したい、会社のマスコットを取り入れたい。そういったことを考える上では、ロゴのグラフィック的要素を考慮する必要があります。それぞれの要素を組み合わせる前に、グラフィックをロゴに組み込むにはどうしたら良いか、あるいはそもそも組み込むべきかどうかということを検討するのです。

タイポグラフィ

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Anatomy of typography

ロゴの中にテキストを入れる場合、そこで使うフォントや文字の種類、つまりタイポグラフィについて考える必要があります。ここでは、フォントについて、主な4つのタイプを見てみましょう。

serif:それぞれの文字の最後にアンカー(文字の端につく飾り)がある、他のフォントよりもトラディショナルなフォント。Times New Romanはその代表格。

sans serif:見た目に滑らかな印象で、アンカーのないフォント。よりモダンな印象で、HelveticaやArialが主に用いられるフォントとして知られている。

Script:手書き風のカーブの強いフォントで、PacificoやBrusherなどが知られている。

Display:他に無いような特徴を有する個性的なフォント。Black Casperなど。

どういった要素をロゴに加え入れるかということにより、ブランドについてどういったことを伝えられるかということも変わってきます。そのため、要素は慎重に選ばなければなりません。

ロゴについては、色、タイポグラフィ、アイコン、全体のスタイル、グラフィックを含め、あらゆるものが意味を持つのです。(Koffman)

Canvaでロゴをデザインするには

デザインの前段階で必要なことをこなしたなら、いよいよ実際にロゴを作ってみましょう。以下は、Canvaでロゴをデザインするためのステップバイステップの解説です。

ステップ1:レイアウトを考える

デザインをし始める前に、少し時間を取ってロゴのレイアウトについて考えてみましょう。[Create a Design](デザインを作成)のオプションを選択すると、ロゴのテンプレートを確認できます。この画面では、既存のレイアウトが自動的に左側のサイドバーに表示されます。またテンプレートページから[Logos]をクリックしてもOKです。

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既存のデザインレイアウトでピンとくるものがあったら、そのレイアウトをカスタマイズすることで制作時間を大幅に短縮することができるでしょう。フォントを変える、画象を変える、色を変えるなどすれば、白紙の状態からロゴを作らなくても大丈夫です。

一方、これだと思えるようなレイアウトが見つからない場合は、自分で一からロゴを作っていくことになります。

ステップ2:カラーパレットを選ぶ

ロゴをデザインする上で最初に手を付けると良いのがカラーパレットです。デザインの一部分をクリックすると、上部にオプションメニューが表示されます。アイコンを色に合わせて、デフォルトの色から選択したり、自分で色を作成したりすることができます。自分で色を作成する場合、Document Colorsの下にある『+(プラス)』のマークをクリックすると色相環が開きます。必要な色を選ぶと、Canvaが自動でそのカラーコードを表示するので、他の部分で使える濃淡の異なる同じ色相の色を利用することができます。別の色を追加する場合は、またプラスのマークをクリックしてください。

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色の選択が完了したら、必要に応じて背景色を選択することとなります。この背景色の設定の後に、ロゴのその他の要素を追加していくことになります。背景色を設定するには、パレットから適切な色を選択してください。

ステップ3:フォントを選ぶ

背景色が決まったら、(必要に合わせて)次にテキストを追加します。

テキストについての選択肢はふたつ。[add heading](ヘディングの追加)や[add subheading](サブヘディングの追加)からフォントを選び、手動で追加するか、それとも[add a little bit of text](少量のテキストを追加する)のどちらかから追加する、またはその両方を使うというもの、またあるいは既存のフォントレイアウトからひとつを選んでカスタマイズするというものです。どちらも左側のサイドバーから行うことができます。

手動で行う場合、まず[add](追加)からデザインにテキストを追加します。ヘディング、サブヘディング、その他テキストを追加したら、フォントやサイズ、色、スタイルをデザイン上のメニューオプションから選択してください。

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事前にデザインされたフォントレイアウトを使う場合でも、メニューバーから色やサイズ、スタイルを変更することは可能です。

ステップ4:更に要素を追加する

テキストを配置し終えたら、その他の要素を追加していきます。例えば線、何かの形、イラスト、アイコンなどです。これらは全て左側のサイドバーから行えます。

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こうした要素尾色の変更については、左上のメニューバーにあるカラーボックスをクリックすれば可能です。

ステップ5:完了と保存

色、テキスト、その他の要素を完璧に組み合わせることができたら、いよいよロゴは完成、お披露目も間近です。ページの右上にある[Download](ダウンロード)ボタンからロゴのコピーを保存しましょう。

ロゴに複数のバージョンを作っておく

基本となるロゴデザインが完成したなら、次に考えるべきはそのロゴをどのように使うかということでしょう。その上では、シチュエーションに応じた使い方ができるよう、いくつかのバリエーションを持っておくことをおすすめします。

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「ロゴにとっての家族を増やしてあげる、というような感覚です。色のバリエーションやフォント、レイアウトの配置などに加えて、特別な使い方を想定したバリエーションなどを作っておくと良いでしょう。こうしたバリエーションを用意しておくことで、ブランドとしての統一性を示しながら認知度を高める機会を失わずに済み、様々な利用事例に対応できるようになります」とKoffmanは言います。

例えば、メインのロゴがカラフルなものである場合で印刷物が業務において多く発生する場合、そのロゴの白黒のバージョンを作っておくと印刷代を削減することもできるでしょう。また、テキストとグラフィックを組み合わせたロゴをメインとして利用する場合、ウェブサイト上でアイコンとして使えるようなシンボル的ロゴも欲しいと思うかもしれません。

ロゴについてどれだけのバリエーションが必要かということは一概には言えません。どういった場合で異なるバージョンのロゴが必要になるかということを考え、必要に合わせてそうしたロゴを作成するのが良いでしょう。

「全てのブランドについて言えるような、どれだけあれば充分という決まった数はありません。しかし、コミュニケーションのチャンネルとして可能な限りフレキシブルであることがロゴには求められるのです」とKoffmanは言います。

ロゴを作る上での最後のヒント

ロゴをデザインする上で色々なことが分かったところで、最後のまとめに入る前に、人目を引くようなデザインをするための最後のヒントを見ていきましょう。

トレンドを重要視し過ぎない:トレンドには満ち引きがあるものです。したがって、どんなときも有効なロゴを作るには、トレンドに乗ってしまうことを何としても避けなければなりません。「素晴らしいロゴはトレンドには従わないものです」とKoffmanは言います。「デザインの流行に感化されてしまうと、その流行が廃れると同時にロゴも廃れてしまいます」

最終的な目的を意識しながらロゴを作る:Koffmanは次のように言っています。「究極的には、ロゴとはブランドそのもののビジュアル的な体現であり、正しい雰囲気やトーン、息遣いが感じられるようでなければなりません。ロゴは、何度も目にすることになる要素です。したがって、そこにはストーリーを語るような要素がなければなりません。それを見る人、従業員、顧客など、あらゆる関係者に分かりやすいメッセージを伝えられるような、そんなロゴである必要があるのです」

スタイルより実質:ロゴについて適切なスタイルを有することは重要です。しかし、スタイルを付与するときには、そのスタイルに実質的な意味がなければいけません。「ブランディングを行う上で、あらゆる場面でスタイルよりも実質的意味を優先しなければなりません。スタイルが全てになってしまうと、オーディエンスから『中身がない』ように思われてしまうことになります」とKoffmanは言います。ただ見た目が良い以上の意味があるロゴを作りましょう。あなたのブランドを、正確に伝えられるように。

デザイン作成の切り札