プレゼンテーションといえば、欠かせないのがMicrosoftのパワーポイント(PowerPoint)です。アップルの創業者スティーブ・ジョブズは聴衆の気持ちを引きつけるプレゼンテーターとして有名ですが、たった一度のプレゼンのために数週間前から徹底した準備を重ねたことでも知られます。
このように、聞き手を動かすプレゼンは事前の周到な準備とセオリーを踏まえた設計によって実現できます。魅力的なパワーポイントのデザインに求められるものは、天才的なひらめきではなく、丹念なリサーチと聞き手の目線で考える意識です。
ここでは、魅力的なパワーポイントをデザインするために知っておきたい基本的な情報を詳しく取り上げ、さらに無料でデザインしてダウンロードできるパワーポイントのテンプレートを数多く紹介します。また、無料で簡単におしゃれで見栄えのいいパワーポイント資料が作成できるCanvaの使い方もわかりやすく説明しています。
「かっこいいデザインのパワーポイントが作れない」「パワーポイントを使ったプレゼンが苦手」といった人にこそ、ぜひ読んでいただきたい記事です。ぜひ最後まで目を通し、プレゼンで成功を収めるパワーポイントの作成に役立ててください。
パワーポイント(PowerPoint)は、別名「パワポ」として知られるマイクロソフト(Microsoft)社のプレゼンテーション用ソフトです。聞き手に何らかの提案を行い、行動を促すためのツールとして、特にビジネスの現場で広く使われています。
パワーポイントに慣れていない場合、いきなり真っ白の画面を立ち上げ、トピックを思いつくまま入力することがありますが、メリハリのある魅力的なプレゼンテーション資料を作成するには、事前の準備が重要です。
パワーポイントは、アイデア出しのためのツールではないため、企画を立案したりブレインストーミングする場合は、アイデアを自由に制限なく広げることが必要です。そのためには、現状を分析し、相手の抱える問題やマーケットの課題などをあらかじめリサーチしておきましょう。
ブレインストーミングは、一人で行う場合はノートに手書きで書き出してもいいし、ワードやテキストエディタなどにランダムにアイデアをメモするのもいいでしょう。チームで行う場合は、ホワイトボードに書き出したり、個別に考えたアイデアを持ち寄ってもいいでしょう。
その結果を元に、5W1Hのフレームワークなどを使ってプレゼンする内容について整理します。その際、「聞き手にとってのメリットとは何か?」を念頭に置いて考えることで、相手の立場に立ったパワーポイントを作成することができます。
プレゼンする内容について整理できたら、パワーポイントに落とし込みましょう。基本的なプレゼン資料構成としては、最初に課題を述べ、次にその原因を指摘、さらに解決策を提案し、その結果としてどんな効果が得られるのかをシンプルに説明することができれば、相手に納得してもらいやすい提案となります。
相手があなたの提案を待っている社内プレゼンの場合は、このように、メリットを端的に伝えられる構成がおすすめです。
ほかにも、プレゼンのフレームワークとしては、SDS(概要・詳細・まとめ)PREP(結論・理由・具体例・まとめ)、TAPS(理想・現状・問題点・提案)などテーマに合わせてさまざまなパターンがありますが、これらのフレームワークに詳しくない場合でも、既存のパワーポイントテンプレートを活用すれば、該当する項目や数字などをテンプレートに落とし込んでいくだけで簡単に説得力のあるプレゼン資料を作成することができます。
社外で行うプレゼンの場合は、上記のような論理的な構成に加え、よりエモーショナルな仕掛けが必要になります。社外に対するプレゼンとは、いわば「アウェイ」な状況です。あなたの話をぜひ聞きたいという人は、あまりいないかもしれません。
プレゼンの冒頭で聴衆の気持ちをつかむために行われているのが、「アイスブレイク」と呼ばれる手法です。一般的には、初対面の相手に自己紹介を行う場合や、商談相手に初めて会った場合に緊張した雰囲気をほぐすためのテクニックとして知られます。
グローバル企業のプレゼンでは、気の利いたジョークなどのアイスブレイクで聴衆を沸かせますが、日本の文化にはあまりなじまない可能性があります。不自然になることのないよう、天候や季節のイベントなどについて少し触れてから本題に入ったり、大きめのアクションで挨拶をするなどして、緊張した場の雰囲気を和らげることができれば、最初の「つかみ」としてはOKでしょう。
社外の場合は、プレゼン進行中も随所で「相手の気持を掴む」という意識が求められます。そのため、用意した原稿を棒読みするのではなく、聴衆の顔を見ながら話を進めるようにしましょう。とはいえ、話す内容を丸暗記する必要はなく、手元の資料を読みながら、時折顔を上げて聴衆に目線を配ることを心がければいいでしょう。このため、特に社外プレゼンの場合は、事前のリハーサルが不可欠です。現実のプレゼンと同じ時間配分で、聴衆にメッセージが伝わるよう、声に出して原稿を読み上げながら練習すれば、当日、壇上で慌てるようなことはありません。プレゼンの天才であるスティーブ・ジョブズも、何度もリハーサルを重ねたといいます。
Canvaを使えば、2,400点以上の豊富なテンプレートから自由に選んでプレゼンテーションを作成できます。完成したプレゼンテーションはパワーポイントファイルでダウンロードしたり、そのままオンラインでプレゼンしたりできます。
ここではCanvaで人気のプレゼンテーションテンプレートのトップ10をご紹介します。Canvaのテンプレートは、プレゼン作成に役立つ内容が書き込まれているので、簡単にアレンジできます。気に入ったテンプレートがあれば、[このテンプレートを使用する] ボタンをクリックまたはタップすれば、すぐにデザインを開始できます。
マーケティング施策を提案するためのプレゼンのテンプレートです。問題、解決案、マーケティング戦略、成功指標など書かれています
講演、講義、セミナー、研修の内容のテンプレートです
分かりやすいお知らせなどを作るのに適したテンプレートです
元気で明るい雰囲気いっぱいのテンプレートです
広告戦略を提案しているテンプレートです
フラワーアレンジメントの講習をテーマにしたプレゼンテンプレートです
ブランドガイドライン、マーケティングのプレゼンテンプレートです
旅行会社が一人旅を提案するというテーマのプレゼンテンプレートです
マーケティングキャンペーンのプレゼンテンプレートです
会社紹介を魅力的に行っているプレゼンテンプレートです
プレゼンテーションのためのツールであるパワーポイントには、Word(ワード)やExcel(エクセル)にはない特徴があります。ここでは、とくに便利な3つの機能を紹介します。
パワーポイントのメリットは、端的に言えば情報をグラフィカルかつ動的に伝えることができる点です。たとえばデータを数値の羅列ではなく、きれいなグラフとして表示することができるので、相手に直感的に理解してもらえます。
聴衆の関心を引きつけるには、プレゼンテーションに動きを追加することも効果的です。画面切り替えやアニメーション機能を活用したり、動画や音声を追加したりして情報をより立体的に伝えましょう。
パワーポイントで新規ファイルを作成する際に、アニメーション機能のあるテンプレートをダウンロードすることもできます。ダウンロードするには、[新規] メニューで 「アニメーション」を検索します。
ダウンロードしたアニメーション付きテンプレートの動きを確認するには、ファイルを開いて [アニメーション] タブに移動し①、[プレビュー] を選択します②。
プレゼンテーションを行う場合、とても役立つのが [スライドショー] ①です。パワーポイントには [スライドショーの記録] 機能②や、事前にプレゼンを練習できる [リハーサル] 機能③が備わっています。
リハーサル機能では、実際にナレーションを録音して後で確認できます。重要なイベントの前にはぜひ活用したい機能です。
WordやExcelなどマイクロソフトのOfficeアプリを使ったことがある人なら、おそらくパワーポイントも簡単に使いこなせることでしょう。しかし、パワーポイント特有の用語もあります。ここでは、Office 2019を使用して、基本的な用語を説明します。
パワーポイントのファイルを構成するのが「スライド」です。通常、1つのパワーポイントファイルは複数のスライドで成り立っています。スライドは追加したり、削除したり、位置を移動したりすることができます。
パワーポイントの [標準] 表示設定では、ウインドウ左側にすべてのスライドが表示されます①。スライドを追加するには [新しいスライド] を選択します②。
作成したスライドを並べてデザインやレイアウトなどを確認したい場合は、[スライド一覧] 機能が便利です。[スライド一覧] を表示するには、[表示] タブ①から [スライド一覧] ②を選択します。
[ノート] 機能を使えば、プレゼンテーションの際に説明したい内容などを書き込むことができます。[ノート] を表示するには、[表示] タブ①から [ノート] ②を選択します。各スライドの下に空白のフィールド③が表示されるので、メモや補足情報などを入力します。
ノートを追加したスライドなどを、プレゼンテーション参加者に対して手持ちの資料として配布したい場合があるかもしれません。パワーポイントには、作成したスライドを配布資料としてWordファイルでエクスポートできる機能があります。配布資料を作成するには、[エクスポート] メニュー①から [配布資料の作成] ②を選択します。
パワーポイントのスライドには、さまざまなレイアウトを適用することができます。レイアウトは、[ホーム] タブ①の [レイアウト] メニュー②から一覧を参照できます③。
プレゼンテーションを魅力的に見せるために役立つのが「画面切り替え」機能です。画面切り替え機能を使えば、スライドから次のスライドに移行するタイミングで、フェードやワイプなどさまざまなエフェクトを適用できます。
この機能は [画面切り替え] タブ①から設定できます。各スライドごとにサウンドの設定やエフェクトの時間など細かい調整を設定したり、設定をすべてのスライドに適用したりできます②。
マイクロソフトのオフィススイートのひとつであるパワーポイントは、文字入力や画像追加など、文書作成ソフトのWord(ワード)や表計算ソフトのExcel(エクセル)と共通した操作も多いので、Officeのユーザーなら初めてパワーポイントを使うという人でも比較的すぐに使いこなすことができるでしょう。
しかし、WordやExcelとの大きな違いは、パワーポイントがプレゼンテーション用のソフトである点です。パワーポイントとは、講演やイベント、大学の講義などで使われるスライド資料として作成されるものです。Wordで作成する資料が「読む」ことを前提としているのに対し、パワーポイントの場合は聴衆の前で「話す」ことが前提となります。
このため、パワーポイント資料は伝えない内容すべてを文字で表現するのではなく、要点を直感的に理解できるビジュアルで構成するのがポイントとなります。
いわば、紙芝居の表のようなイメージです。紙芝居の表には、カラフルな絵で物語の要点となるシーンが描かれており、台詞や説明は裏側に記載されていますが、ちょうどそのような構成を念頭に置いて作成しましょう。
パワーポイントにも「紙芝居の裏」にあたる機能があります。それがノート機能です。ノート昨日は、プレゼンテーション中に、自分だけが目にすることができるメモなので、プレゼン中、各スライドで話したい内容をここに書いておけば、重要な話を忘れるという心配もありません。また、ノート機能は、出席者に配布する資料として印刷することもできます。
また、WordやExcelにない、パワーポイントに特徴的な機能がスライドショーです。この機能を使えば、事前にリハーサルをすることができます。これは本番のプレゼンでも不可欠といってもいい重要な機能です。プレゼンテーションを成功させるためにぜひ活用しましょう。
プレゼンで伝えたい内容が整理できたなら、テンプレートを使って、パワーポイント資料を簡単に作ることができます。ここでは、魅力的なパワーポイントデザインのための基本的な要素を以下の項目別に詳しく紹介します。
ここでは、テンプレートを選ぶ際に知っておきたい文字以外のデザインレイアウト要素について詳しく解説します。ダウンロード可能なパワーポイントのデザインテンプレートはネット上に膨大にあるので、ある程度絞り込むためのコツが必要になります。ここで紹介している項目について理解を深めてからテンプレートを選んでください。
タイトル
プレゼン資料のポイントとなるのがタイトルです。魅力的なタイトルを目にした聴衆は、プレゼンのクオリティもすばらしいだろうと期待が高まります。
社外向けのプレゼンの場合は聴衆の関心を引きつけることを念頭に置き、キャッチコピーのような魅力的なタイトルを考案する必要があります。暫定的なタイトルで作成して、プレゼン資料ができあがった段階で見直し、最終的なタイトルにブラッシュアップする方法もおすすめです。
社内のプレゼンでは聴衆の「つかみ」を考えなくてもよいため、提案の内容が伝わりやすいよう、しかし冗長になりすぎないよう適度な長さのタイトルを作成しましょう。
社内/社外どちらの場合でも、タイトルを作成する際には、漢字とひらがなをバランスよく配分します。漢字ばかりでは読みづらいですが、かといってひらがなだけだと間延びして見えます。リズミカルで読みやすいタイトルを見つけるまで、いくつも候補を考え、プリントアウトして眺めるなどして磨き上げましょう。
なお、見た瞬間、直感的に理解できる文字数は13文字以内と言われており、できればタイトルは13文字以内の収めるのがおすすめです。13文字では言いたいことが伝えられない場合は、サブタイトルで詳しく説明するという方法もあります。
目次
パワーポイント資料には、必ずしも目次が必要だというわけではありません。営業用の提案で、相手の気持ちを掴むような流れでプレゼンを進める場合は、あえて目次を見せず、プレゼンに対する期待感を高めるという方法もあります。しかし、社内プレゼンや論理的に説得するプレゼンの場合は、目次があったほうがいいでしょう。
マイクロソフトのパワーポイントでは、2007以降は目次の自動生成機能がなくなりました。代わりに、パワポの内容をアウトライン表示してデータをコピーし、目次用の新たなスライドに貼り付けるというやり方で目次を作成することができます。
表紙
表紙はなるべくシンプルに、タイトルを大きく表示して読みやすく仕上げるのが基本です。
キーワードの文字色に、コーポレートカラーを使ったり、背景色や背景画像を加えたりしてアレンジするのもよいですが、工夫しすぎて読みにくくならないように気をつけてください。あくまでも、ポイントは「読みやすく」を心がけましょう。
表紙には、以下のような要素が必要ですが、提案者の名前や日付は文字の大きさを押さえて、タイトルを目立たせるといった工夫を凝らすことで、メリハリがあり、躍動感のあるデザインにするのがおすすめです。
色
パワーポイント資料のテンプレートは非常に数多くあるので、どのようなテンプレートが適しているのか悩むこともあるはずです。ここでは、失敗しないための色選びのコツについて、以下の3点から詳しく見ていきます。
A. 使用色は2〜3色程度に抑えたものを選ぶ
テンプレートに使用されている色の数は、2〜3色程度に抑えたものを選ぶようにしましょう。なぜなら、色数が多くなるほど、見た目が煩雑になるので、シンプルなデザインとは言えなくなるからです。
白と黒だけのモノクロのデザインはシンプルの極致とも言えますが、プレゼンを行う内容によっては、モノクロのデザインがそぐわない場合もあります。冷たい印象を与えてしまう場合もありますから、ご自身のプレゼンの内容に適しているかどうかよく考えて選びましょう。
一般的な色の組み合わせ(配色)から見る人に与える影響を簡単に紹介します。色は無数にあるので、一概にOK/NGと言えない場合が多いのですが、選ぶ際の参考にしてください。
プロのデザイナーレベルの色に関する専門知識を得る必要はありませんが、まずは、テンプレートのページ全体を見渡してみて、不快感を感じる配色を避けるようにしていけば、少しずつ自分に合ったテンプレートを選ぶことができるようになるはずです。
B. 色の効果をよく考えて選ぶ(業種や商品・サービスに適しているか?)
色が与える効果についてもよく考えて選びましょう。プレゼンの内容とかけ離れた印象の色を選んでしまうと、チグハグした印象を見た人に与えてしまうからです。
ここで簡単に色が与える主なイメージをご紹介します。
セミナーや学会等でプレゼンを行うのであれば、「学び」をイメージさせるような青系をメインにグレー系の落ち着いた配色がいいでしょう。要点の部分にのみ目立つように、赤を使うのもいいかもしれません。
商品やサービスを顧客にプレゼンするような場合であれば、自社の業種や商品・サービスの性質に適した色を使うようにしましょう。商品自体に固有の色があるのであれば、その色をメインにしたデザインにするのもひとつのアイデアです。たとえば、青汁のような商品であれば、フレッシュな印象を与えるビタミンカラーを使用してみるのもいいでしょう。
コーポレートカラーが決まっているのであれば、それをベース使用したデザインにすることで、ライバル会社と差別化することができ、強い印象を与えます。自社のロゴの配色をベースとしたデザインをお勧めします。
テンプレート選びに入る前に、プレゼン資料を見た人にどんな印象を与えたいか、イメージをしっかりと決めておくことが大切です。
C. シンプル過ぎても逆効果になることがあるので注意
あまりにもシンプル過ぎるデザインは逆効果になることがあるので気をつけてください。シンプルとは余計なものをそぎ落としてムダがない状態ですが、実はデメリットもあり、「単調で飽きやすいデザイン」でもあるからです。
単調で飽きやすい状態とは、刺激がない状態とも言えます。プレゼンを行う場合は、ある程度メリハリをつけないと見ている人が飽きてしまい、場合によっては眠気を催してしまいます。
シンプルな中にも、ハッと目を引き付けるような工夫を入れるようにしましょう。文字だけで説明が続いた後は、グラフや画像を入れて説明したり、目立たせたい数値などは大袈裟なくらい大きく表現するなどします。
テンプレートを選ぶ際には、全体的に単調なものではなく、メリハリがハッキリと出せるようなデザインのテンプレートを選ぶようにしましょう。
背景
魅力的なパワーポイント資料を作成するために、背景を使いたい場合もあるはずです。パワーポイントに背景を追加するポイントは、「文字が見やすく、読みやすいかどうか」に尽きます。よほどの必然性がない限り、写真画像を使った背景は文字の可読性を損なうため必要ではありません。プロジェクターに投影するプレゼン資料の場合は、画面がまぶしくならないよう、薄いグレーの背景を使用するのはおすすめできます。
飾り枠
プライベートな用途などで、パワーポイント資料に飾り枠を付けたい場合は、無料でダウンロードできるさまざまなテンプレートから選ぶのが一番簡単です。また、シンプルな枠線であれば、図形ツールを使って四角形を資料全体のサイズに合わせて追加し、枠線の太さを調整することで、好みの色や太さの飾り枠を自分で作成することもできます。
表
パワーポイント資料に表を追加するというシーンは非常に多いと思います。表のデザインについては、それぞれテンプレートに用意されているものを活用すれば、デザインが崩れることなく美しく仕上がります。マイクロソフトのPowerPointで表を追加する場合は、通常、リボンメニューの [挿入] から [表] を選んで追加しますが、その際、リボンメニューの [デザイン] を使えば、簡単に好みの見た目の表にカスタマイズすることができます。
やり方は、デザインを変更したい表を選択したまま [デザイン] をクリックして、リボンメニューの左側にある [表スタイルのオプション] のチェックマークを入れたり外したりするだけです。集計行に色付けしたり、縦や横の縞になるようデザインしたりと簡単に表の見た目を変更できます。
図形
パワーポイント資料に使う図形は、いくつかのポイントを押さえるだけでぐっとプロフェッショナルな見た目になります。以下は、基本的なデザインのルールです。
レイアウトの基本原則が「整列」です。整列とは、オブジェクトを一定のラインに沿って並べることで、ぐっと見やすくおしゃれなデザインになります。縦も横も、できるだけきれいに揃えておきましょう。複数のオブジェクトを選択したまま、[書式] リボンにある([ホーム] リボンにある場合もあります)[配置] メニューをクリックすれば、中央揃え、下揃え、上揃えなど、好みの整列スタイルを適用することができます。
類似の情報をまとめる近接は、ひと目でわかりやすい直感的なプレゼン資料のために不可欠です。たとえば、写真にキャプションを近接して配置することで、写真の説明であることが一目瞭然でわかります。
すっきりした見た目のパワーポイント資料を作るコツは、図形に枠線と塗りつぶしの両方を適用しないことです。枠線だけ、または塗りだけにすればおしゃれな印象になります。
図形を使って説明するような場合、丸と四角、角丸など複数の図形が混在すると、散らかった印象を与え、統一感が損なわれます。できるだけ同じ種類の図形で統一するようにしましょう。また、角丸を使う場合は角のアール(曲線)も統一するようにすればきれいです。
プレゼンテーションの成否を左右するのが「文字」です。ここでは、読みやすく、提案力のあるパワーポイント資料を作成するために知っておきたいポイントについて、文字という角度から詳しく説明します。
サイズ
パワーポイントのテンプレートを選ぶにあたり、気をつける必要があるのは、会場の大きさです。大規模な会場で、スクリーンにプレゼン資料を投影する場合と、会議室で参加者の手持ち資料として配布する資料とでは、求められる視認性が異なります。
大会場の場合、10メートル離れた場所からでも読めるように、文字サイズはタイトル部分が最小30ポイント、本文が最小18ポイントが目安です。会場の大きさによって見えやすさが異なるので、理想的にはプレゼンを行う会場でリハーサルを行なって、問題なく見えるかどうか確認しておきたいものです。
手持ち資料として配布する場合は、16ポイントがおすすめです。これは、スライドの横幅全体に文字を配置しても、1行につき40文字程度で収まる大きさだからです。これ以上の文字数は、読み手にとって内容を把握しづらくなるためです。
フォント
プレゼン用のフォントを選ぶ際に最も重要なことは、「読みやすさ」です。そのため、基本的におすすめするのは明朝体ではなくゴシック体です。遠目でも可読性が高く、文字を目にした瞬間、すぐに意味が把握できるためです。
ゴシック体のフォントもさまざまな種類がありますが、クセがなく誰にも好感を持ってもらえるフォントとしておすすめできるのは、Windowsであれば「メイリオ」か「游ゴシック」、Macなら「ヒラギノ角ゴシック」です。そのため、明朝体ではなくゴシック体を選びましょう。見出しなど目立たせたい箇所は、別のフォントを使うのではなく、太字で表示するようにすれば、統一された印象になります。
欧文の場合は、ウロコと呼ばれる飾りのない「サンセリフ」体がおすすめです。具体的には「Arial」や「Segoe UI」、「Verdana」を選べば、日本語のゴシック体フォントと並んでもきれいに馴染みます。
なお、パワーポイント資料には、行書体やポップ体、勘亭流などの個性的なフォントは読みやすさを損なうため、基本的には使用しません。
PowerPointで使える便利な機能として知っておきたいのが、スライド全体のフォントの一括変換です。[デザイン] タブ(1)の [バリエーション] コーナーの右側にある下向きの矢印(2)をクリックして表示される [フォント] (3)から、使用したいフォントを選べば、すべてのフォントを変更できます。
行間
PowerPointでは、文字の行間の初期設定は1行です。このままだと、かなり詰まって読みづらいため、読みやすいよう行間を設定する必要があります。
[ホーム] リボンの [段落] にある行間設定の矢印(1)から [行間のオプション] を選択します(2)。
デフォルトで「1行」になっている [行間] を「倍数」に変更し、[設定値] を「1.2」や「1.4」などの数字に変更します(3)。適切な行間はフォントによって違うため、詳細な設定は画面を確認しながら行ってください。段落の終わりに空白を空けて情報をまとめるには、上記の [行間のオプション] で、[段落後] を「10」などの数字に設定します(4)。こちらも、全体のレイアウトを見ながら適切な数字を設定してください。
改行
直感的にわかりやすい資料を作成するためには、できれば文章の途中で改行しないことをおすすめしますが、どうしても改行する必要がある場合は、文章の切れ目で区切るようにしましょう。
たとえば、「おすすめキャンペーン、今なら50%オフ!お急ぎください。」という文章を区切る場合、
おすすめキャンペーン、今な
ら50%オフ!お急ぎください。
ではなく、
おすすめキャンペーン、
今なら50%オフ!お急ぎください。
のように意味に従って区切るということです。
また、1行に収める最大文字数の目安は、大勢の聴衆でプレゼンテーションする資料であれば、直感的に内容を把握できる25文字程度がおすすめです。社内の報告書など、じっくり読み込む資料の場合は、最大35文字程度が目安ですが、40文字を超えると内容が把握しづらくなるため注意が必要です。
色
文字色についても、デザインの配色を選ぶ場合と同様に、多くの色を使いすぎないというのが基本です。白色の背景で読みやすいのは、濃いグレーまたは黒です。地色がある場合はコントラストを考えて、可読性の高い配色にします。たとえば、淡い色に白抜き文字を使うと読みにくくなるので使わない、濃い色の上に濃度の濃い文字色は読みにくいので使わないなど、読み手の立場に立って配慮しましょう。
テンプレート用ファイルとして保存
テンプレート配布サイトから新しいテンプレートをダウンロードしてきたり、会社名などをカスタマイズしたパワーポイント資料をひな形として今後も使いたい場合などには、テンプレートファイルとして保存します。テンプレートファイルを保存するファイルパスは以下になります(1)。
C:\Users\<UserName>\AppData\Roaming\Microsoft\Templates(<UserName>の箇所は、自分のPCのユーザー名に変更します)
テンプレートファイルとして使用できるのは、.potxファイルです。ダウンロードしてファイルの拡張子が.potxになっていればテンプレートファイルです。.potxではないファイルの場合は、いったんファイルを開き、以下の手順でテンプレート用の.potxファイルに変更します。
自分で作成したり、ダウンロードしたパワポのファイルをテンプレートとして使用するには、まず [名前を付けて保存] で [ファイルの種類] を [PowerPointテンプレート(*.potx)] に選択して、あとで認識できるファイル名を付けます(2)。
テンプレートファイルを適用する
ファイルタブから新規をクリックし、表示されるテンプレート一覧からOfficeではなく個人用をクリックします(デフォルトではOfficeになっているので変更します。(1)参照)。個人用をクリックすると、上記で保存したテンプレートが表示されるので、使いたいテンプレートをクリックすると、そのテンプレートを適用した新しいパワポ資料の作成を開始することができます。
あらかじめデザインされたテンプレートを使えば、デザインルールに頭を悩ませることなく、提案の中身に集中してプレゼンテーションを作成することができます。オンラインのデザインツールであるCanvaには、プロのデザイナーがデザインしたパワポのテンプレートが数多くあります。ここでは、その一部をご紹介します。気に入ったテンプレートがあれば、[このテンプレートを使用する] ボタンをクリックして、すぐにパワーポイント資料の制作をスタートできます。
白を基調にしたやさしいイメージのテンプレートです。
補色を使った、シンプルながらも印象的なデザイン。
数字を明確に示すのに適したビジネス向けのシンプルなテンプレートです。
おしゃれなパワポデザイン3選
雰囲気あふれるおしゃれなデザインは、趣味のプレゼンテーションにぴったり。
スタイリッシュでミニマルなテンプレートです。
個性的でおしゃれなテンプレート。スクールやサロンなどにおすすめです。
かわいいパワポデザイン3選
クリスマスのアニメーションが楽しいテンプレート。
ステーショナリーのイラストを散りばめた、学校におすすめのテンプレートです。
ロマンチックなシーンで活躍するフローラルデザイン。
かっこいいパワポデザイン3選
タイトルとマッチしたフューチャリスティックなデザインが印象的なテンプレート。
大胆なオレンジの色使いが意思の強さを感じさせるテンプレート。
シンプルながらもアートな雰囲気を感じさせるテンプレート。
ビジネスで使えるパワポデザイン3選
幾何学模様と、コントラストの効いた青と白のカラーリングがビジネスに最適。
社内プレゼンなどにおすすめの、読みやすくメリハリのあるテンプレート。
写真を活用したビジネス向けのテンプレート。
プレゼン資料を作成する経験が浅い場合にやってしまいがちなデザインの注意点について、今一度確認しておきましょう。
情報を詰め込みすぎない
ワードやテキストエディタなどで要点をまとめずに、いきなりパワーポイントに入力した場合にありがちな失敗です。考えをまとめていくうちに文章が長くなってしまいがちですが、パワーポイント資料に入力するのは考えをまとめた「結果」だということを肝に銘じましょう。
1つのスライドには1つのテーマ
これも上記と関連しますが、パワーポイント資料を作成する前に全体の構成を決めておき、要点をわかりやすく紹介するようにします。
アニメーションなど装飾を使いすぎない
初心者にありがちな典型的な失敗です。プロのデザイナーは、余白を計算に入れたシンプルでわかりやすいデザインを好みます。大切なことは、いかに聴衆にわかりやすく伝えるかです。アニメーションや凝ったフォント、影文字など不必要なワードアート、意味のない立体的な図形などは、聴衆の意識が散漫になり、提案を伝えるために邪魔になることもしばしばです。
PowerPointにデフォルトで入っている装飾は一般的に過剰なものが多いため、そのまま使用するとにぎやかになりすぎる傾向があります。デザイナーが作成したおしゃれなテンプレートを使えば、そのような心配はありません。
余白も大切な要素
余白があると、さまざまな情報を詰め込みたくなったりしていませんか? パワーポイントでは、余白も大切な要素です。聴衆に提案を理解してもらうためには、適度な余白が必要です。
クオリティの高いパワーポイントのプレゼン資料を作成したいなら、デザインツールのCanvaがおすすめです。無料で使えるので、気になったデザインがあれば今すぐアカウント登録をしましょう。
スマートフォンやタブレットでも利用できます。こちらからアプリをダウンロードしてください。
ここでは、
というトピックについて詳しくご説明します。
テンプレートの使いやすさ、アレンジの簡単さについて、ぜひ実際に利用して確かめてみてください。
実際にCanvaで利用できるプレゼンテーション用のテンプレートからおすすめをご紹介します。
ここでご紹介するのは、あくまでもほんの一部です。Canvaには8,000を超えるテンプレートが揃っています。テンプレートの文字はすべて日本語のフォントに変更することができますし、画像などもすでに揃っているのであれば、アップロードしてテンプレートの画像と入れ替えるだけで、すぐにプレゼン資料ができあがります。
Canvaのテンプレートは簡単にアレンジができます。
色変更が簡単
たとえば、デザイン全体は気に入っているが、背景の色を変えたいという場合は、変えたい部分をクリックして選択し①、[カラー] アイコン②を選択します。するとデザイン画面左側にカラーパレットが表示されます③。
好みの色を選択するだけで④、簡単に色を変更できます⑤。
また、[スタイル] ⑥メニューから、まとめて配色を変更することもできます⑦。好みの配色セットを選ぶだけで反映されます⑧。配色セットをクリックまたはタップすれば、色を配置する位置をシャッフルできるので、ぜひ試してみてください。
明るさ・コントラスト等の画像調整も簡単
Canvaには、明るさやコントラスト(明暗)に加え、彩度やハイライト、ぼかしなど、高度な画像加工機能が備わっています。使い方は簡単です。加工したい写真を選択し①、[調整] メニュー②を選択すればアクセスできます③。
フィルター加工も簡単
画像のニュアンスを変更したいなら、加工したい画像を選択し、[フィルター] メニュー①から好みのフィルターをかければ好みのテイストに画像加工できます②。スライダーで簡単に輝度調整もできます③。
テキストの追加やフォントの変更も簡単
もちろん、文字の追加もあっという間です。Canvaには現在、309種類の日本語フォントを含む、数千種類のフォントが揃っています。これらの豊富なフォントから、思い通りのデザインを実現することができます。
使い方は、デザイン画面左にある [テキスト] メニュー①から「見出し」や「本文」など追加したい要素に文字を入力するだけです。フォントや色変更は、デザイン上部の [A] アイコンからアクセスできます。
納得できるデザインができたなら、PDFファイルでダウンロードすることもできれば、Canvaのデザイン画面から直接プレゼンテーションを行うこともできます。また、マイクロソフトのPowerPointで編集するために.pptx形式のファイルとしてダウンロードすることも可能です。
PDFでダウンロードするには、デザイン画面右上にある下向き矢印アイコン [↓] ①にアクセスします。こちらでは、.jpgや.png形式でダウンロードすることもできます。
下向き矢印アイコン [↓] の右にある [プレゼンテーション] アイコン②を選択すれば、Canvaから直接プレゼンテーションすることができます。
さらに、その右側にある […] アイコン③を選択すれば、.pptxファイルとしてダウンロードすることができ、マイクロソフトのPowePointで開いて編集できます。
最後に、おしゃれで提案力のあるデザインのテンプレートを選ぶコツを振り返っておきましょう。