ご存知のとおり、サンセリフ書体はPCでの作業やオンライン上のテキストを表示する際に幅広く使用されています。その一方でセリフ書体は、昔から変わることなく紙媒体のデザインに適しています。
セリフ書体を認識するのは非常に簡単。それぞれの文字のストローク(一筆の動きのこと。aやeであればストロークは1つ。fやtであればストロークは2になる)の端にごく小さな線(例えば、ボール・ターミナル:文字の端に施される球状の装飾のこと、もしくはセリフ:ストロークの端にある飾りのこと)があるのがセリフ書体です。読みやすい文字という事実と離れた視点からみても、セリフ書体は、読み手に負担をかけることなくスムーズに次の文字を目で追うことができ、また認識しやすくしているのです。
昔から使用されている伝統的なタッチをあなたのデザインに取り入れられるよう、素敵なフリーのセリフ書体を厳選してみました。
まずご紹介するフォントは、Fabian De Smetがデザインを手がけた「Butler」です。 BodaniとDala Flodaのフォントからインスピレーションを得て作り出されたこのフォントは、本・ポスター・見出しや招待状でつかうとピッタリです。
Cyril Mikhailovがデザインを手がけた「Fakedes」は、丸みを帯びた2つの線から成るセリフ書体です。見出しでの使用がこの上なく似合います。
Classic Romanフォントからインスピレーションを得た「Forum」は、主にタイトルや見出しで使用するためにデザインされました。それだけではなく、パラグラフ(上記画像のような、ひとまとまりの文章のこと)での使用も素敵ですね。Denis Masharovがデザインを手がけたフォントです。
「Muchacho」は、独特な雰囲気のある全て大文字のフォントです。 Jeff Schreiberがデザインを手がけたこのフォントは、見出しで使うのにふさわしいでしょう。
Nicolás Silvaがデザインを手がけた「Poly」は、縦線を強調し、グリフ(文字の骨格作る抽象的な考えのこと)のあるウェブフォントです。
Iván Núñezがデザインを手がけた「Barbaro」は、1960年代の雰囲気を漂わせたいデザインにピッタリなヴィンテージ感のあふれるフォントです。
SuperBruutが作成した「Le Super Serif」は、88本もの合字(隣り合う文字を接続する手法のこと)と特殊な代替文字を使用した、見るからに流行を意識したフォントです。
Sean Coadyがデザインを手がけた「Firefly」は、手書きのような独特ののセリフ書体です。ヴィンテージ風な雰囲気を瞬時に見る人に伝えてくれますね。
Bodoniフォントからインスピレーションを得てデザインされた「Pelmeshka」は、ブログの見出しから子ども用の本まで幅広い用途にピッタリ。Cyril Mikhailovがデザインをした、見ていて楽しくなるようなフォントです。
Fernando DíazとTipoType Foundryによりデザインされた「Fénix」は、非常に強いインパクトのあるセリフと力強さを感じるストロークにより構成されているため、おしゃれな見た目になっています。見出しとパラグラフのどちらに用いても読みやすいこと間違いなしです。
ヴィンテージ風のフォント「Akura Popo」は、Twicolabs Designにより作り出されました。力強さのある見た目とクラシックな雰囲気を凝縮したようなセリフ書体です。
Pedro Loboがデザインを手がけた「Molesk」は、見た目のとおり、古い書体からインスピレーションを得たスラブセリフ書体(スラブセリフ:読みやすさを保ちつつ、太さを強調したセリフ書体のこと)です。素晴らしい見栄えの文字に少し注視してみましょう。それぞれの文字にレンダリングされた影がうっすらと浮かんでいますよね。このちょっとした工夫が、文字の仕上がりにより素晴らしいエッセンスを加えているのです。
「Rancho」には3つのスタイルがあり、全てのスタイルにワイルドウエスト(アメリカの西部開拓時代:1860年代~1890年頃)の雰囲気があります。さまざまな用途に使用できるこのフォントのデザインは、Nach Oh!によるものです。
この美しい「Bariol Serif」のデザインを手がけたのはAtipo。「Bariol Serif」は、スッキリとした線で構成されていて非常に読みやすいフォントのため、見出しやパラグラフでの使用がピッタリです。
Philatypeがデザインを手がけた「Lovato Light」は、幾何学的な構造をしていますが、それだけではなく、碑文の文字が持つ独特な印象を見る人に与えてくれます。
女性らしい雰囲気が微かに漂うクラシックなフォント「Yeseva One」は、The TypeTypeによるデザインです。
力強いコントラストとシャープなセリフがある「Luthier」。Adrià Gómezにより作成されたこのフォントには4つのスタイルがあるため、幅広い用途に使用できます。
Garamondの手法にインスピレーションを得た「Cormorant」は、ディスプレイフォント(見出しなど、大き目のサイズで文字を表示することに適した装飾文字のこと)です。Christian Thalmannが最適化を施したので、高解像度と大き目のフォントサイズに適用できます。
Hendrick Rolandezがデザインを手がけた「Valyrie」は、ロゴ、ブランディング、ファッション誌への使用にピッタリのおしゃれなフォントです。
ストロークのコントラストとくさび型のようなセリフを適度に加えることで、「Ledger」は非常に読みやすいフォントになっています。このフォントのデザインを手がけたのは、Denis Masharovです。
「Jura」にも21. Ledgerのように、書体にさまざまな雰囲気を加えてくれる、くさび型のセリフが施されています。Daniel Johnsonが手がけたこのエレガントなフォントには、Regular、Italic、BoldとBold-Italicの4つのスタイルがあります。
HomesteadやMuseoといったフォントからインスピレーションを得た「Palacio Font」は、上品で細い線から成る非常にシンプルなフォントです。Nathan Thomsonによるデザインです。
「Tryst」で表示された文章は、目で追いやすく非常に読みやすいですね。 Philatypeがデザインを手がけたこのセリフ書体は、パラグラフのフォントとして使用すると見る人の目をくぎ付けにできるでしょう。
Agga Swist’blnkは、アメリカの西部開拓時代を思い起こさせるような書体を頭に思い浮かべながら、このフォントをデザインしました。「Blnc」は、ロゴ、見出しやポスターをはじめとするさまざまな用途に幅広く使用できます。
幾何学的で魅力のある古さを醸し出す「Hagins」は、ブランディングやロゴへの使用がピッタリです。 Font Fabric向けにMiroslav Bekyarovがデザインを手がけたフォントです。
主にエディトリアル・デザイン(雑誌や書籍など出版物のデザイン)向けに作成された「Brela」は、少し縦長のエックスハイト(各フォントの小文字”x”の高さのこと)を取り入れているため非常に読みやすいですね。Makarska Estudioによるデザインです。
Jonathan Hillがデザインを手がけた「Modum」は、古き良き時代の魅力に、現代的で独特な美的感覚を加えたような雰囲気のフォントです。
「Kilauea」は、このコラムでご紹介するフォントの中で最もユニークなフォントの1つかもしれません。全て大文字で表示されるこのフォントは、German Di Ciccioによるデザインです。
「Kilinic Slab」は、このコラムでご紹介するフォントの中でも、より多種多様なスタイルをカバーしたフォントの1つです。Joe Princeが手がけたこのフォントは、それぞれのスタイルにおいて4種類の文字の太さとイタリック体が選択できるので、使いやすく、非常に魅力的です。
Adrian Candelaが作成した「AC Big Serif」は、上品で華奢な線とその端にある大きなセリフがうまく融合されています。ため息が出るほどの美しいフォントに仕上がっています。
Simon Walkerがデザインを手がけ、丸みを帯びたセリフと文字を横に拡張したような「MatchBook」は、素敵な見出しの作成にピッタリなフォントです。 力強さを表現し、また陰影を施すことで、古き良きアメリカ西部の雰囲気を醸し出しています。
Dan Gneidingによる「Dude」を見ていると、カウボーイの姿が頭に浮かんできませんか?力強い12種類のセリフから好きなスタイルを選べるので、あなたのお気に入りがきっと見つかるでしょう。
1800年代のお芝居のビラや広告からインスピレーションを得た、このヒューマニスト・フォント(サンセリフ体の分類の一つ)には、がっしりとした力強いセリフが施されています。「Abraham Lincoln」は、Frances MacLeodによるデザインです。
フォントのデザインを手がけたAlonzo Felixは、老舗のサーカス団の広告バナーから、「Tight Rope」のインスピレーションを得ています。 微かな曲線と強調したセリフがあるので、ヴィンテージ風のポスターにピッタリなフォントです。
Andrew McCluskeyがデザインを手がけた「Serrific」は、きれいでシンプル、かつクラシックな雰囲気が漂うフォントです。 見栄えも良いので、間違いなく素晴らしいクオリティのフォントです。
Lukas BischoffとSascha Timplanがデザインを手がけた「Athletico」は、現代的でおしゃれ、かつ必要最低限の装飾が施されたフォントです。
うまく説明ができないのですが、Grzegorz Lukが手がけた「Foglighten」を見ると、著者はシャネルのNo.5(シャネルの香水のブランド名のこと)を思い出します。はっきりとその理由が分からないのですが、おそらく魅力的な合字がそうさせるのでしょう。 このフォントを見出しで使用すると、素晴らしく引き立つでしょう。
水平でフラットなセリフ、短いディセンダー(エックスハイトより下にある部分のこと)、ゆったりとした曲線に、直線的なイタリック体。Julia Zhdanovaが手がけた「Artifica」は、筆者が気に入っているセリフ書体の1つです。
Ben Dalrympleが手がけた「Geared」は、産業的文化からインスピレーションを得たフォントです。文字の太さが4種類あるので、TPOによって使い分けることができますね。
GLUK fontsがデザインを手がけた「Kawoszeh」は、洗練された文字のストロークがある非常に伝統的なフォントです。
Lucas AlmeidaとDmitry Goloubが作り出した「Bobber」は、とても楽しげなムードとヴィンテージ風の見た目をした、全て大文字のスラブセリフ書体です。書体の主軸から少し外れたデザインが特徴です。
Wesley Jefferiesが生み出した「Superlative」は、年鑑、ダイナー(軽食のレストラン)やアールデコ調からインスピレーションを得た、全て大文字のフォントです。
Bu!が手がけた「Musket」は、良い要素のみを凝縮し表現したスラブセリフ書体です。さっぱりとした見た目のフォントなので、デザインのどこに配置しても素晴らしい見栄えになることでしょう。
見て分かるように、TypeFaith Fontsが手がけた「Ponsi」には、ベースライン(エックスハイトの下のラインのこと)から下に伸びたストローク(上記画像では”&”の部分)といった幾何学的な線があります。このような表現によって、力強いスラブセリフ書体が作り出されているのです。
「Sliver Fake」は、古風な世界観を内包した現代的なデザインです。 Font Fabric向けにAlex Fruktaがデザインを手がけたこのスラブセリフ書体は、モダンなデザインだけではなく、レトロ風のデザインにもピッタリです。
見出し用のフォントとして作成された「Corduroy」は、Ryan Welchによるデザインで、全て大文字のセリフ書体です。
GroverとRockwell(フォントの種類のこと)からインスピレーションを得た「Weston」は、丸みを帯びたスラブセリフ書体です。Font Fabric向けにPavel PavlovとFourPlus Studioがデザインをしたました。
「Korneuburg Slab」は、力強さのある個性的なフォントですが、パラグラフで使用すると非常にきれいな見栄えになることでしょう。オーストリア北東部のニーダーエスターライヒ州に位置する美しい景観のある都市Korneuburg(コールノイブルク)からインスピレーションを得たFlö Rastbichlerが、この素晴らしいフォントを作り出しました。
「Aleo」は、滑らかな曲線をうまく活かしたセミ・ラウンド(微かな丸みを帯びていること)のスラブセリフ書体です。Alessio Laisoが手がけたこのフォントには3種類の文字の太さがあり、どれも非常に読みやすいです。
Simon Stratfordが手がけた「Dirty Slab」は、Hamilton Wood Type(フォントの種類のこと)からインスピレーションを得ています。このフォントを見ると、木材から幾度の加工を経て作り出された紙に文字を印刷していた19世紀後半の世界にあなたを連れて行ってくれることでしょう。
「Newslab」は、Andes、Sánchez、Robleの3つの書体を組み合わせて作り出されました。まるで魔法をかけたかのようなこの素敵なフォントは、Latinotype Foundryの天才的なひらめきによるものです。
「Bree Serif」は、Bree Serifの前衛となる「Bree」が大成功を収めたため、デザインを一新して作り出されました。Googleの認可を受けたこのWebフォントは、Veronika BurianとJosé Scaglioneによるデザインです。
「Sreda」は、爽やかできれいなスラブセリフ書体で、パラグラフでの使用がピッタリです。Fontfabric Type Foundry向けにElena Kowalskiがデザインしたフォントです。
本のデザインや編集プロジェクト向けにデザインされた「Unna」は、繊細なセリフと力強さがある文字の縦線から成る、オープンソース(ソースコードが一般公開されていること)のフォントです。「Unna」は、Jorge de Buen UnnaとOmnibusTypeによるデザインです。
René Biederがデザインを手がけた「Choplin」は、シンプルさ・幾何学的・中立性の3つのメイン要素から作り出されています。このフォントのOpen Type(マイクロソフト社とアドビシステムが共同開発をしたデジタルフォントの規格のこと)の特徴により、幅広い用途に使用できます。
このコラムでご紹介したフリーのセリフ書体を元に、デザインに素敵なエッセンスを加えてみましょう。ただし、ご利用前にライセンスをしっかりと確認してください。 セリフ書体はあなたの流儀に反する?そのような場合は、「よりモダンなデザインを作る!フリーのサンセリフ書体60選」をチェックしてみましょう。デザインを思い切り楽しんでくださいね!
※「フリー」という表記に関しては本記事が公開されたときの情報となり、現在は無料提供をしていない可能性もございますので、予めご了承ください。