記憶に残るブランドが使っている12のシンプルなストラテジー

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辺りを見渡してみると、どんなときでもひとつくらいはブランドマークが目に付くものです。

もしかするとそれは電話やタブレット、コンピュータにあるロゴかもしれませんし、あるいは本の背表紙にある出版社のロゴかもしれません。それともコーヒーカップの底にある製造業者のマークでしょうか。ブランドはあちこちにありふれています。そういった環境の中でブランドを目立たせるというのは並大抵のことではないのです。

多くの人は、『ブランド』と『ロゴ』という言葉をほとんど同一視しています。しかし実際には、ロゴというのはブランドにとって重要な一部分ではあるものの、それ自体ではないのです。ブランドを人間に喩えるなら、ロゴはその人の見た目と言うことができます。その人物の視覚的な特徴は確かに重要ですが、その人物をその人物たらしめているのは見た目が全てではないでしょう。話し方、振る舞い、着こなしといった細かい情報がその人物を、つまりブランドを作り上げるのです。

ブランドのロゴやそのロゴがどのように用いられているのかということを注視してみると、ブランドというのは多くの要素から成る巨大なマシンのようなものであることが分かります。ここでは、その構成要素を分解し、何がブランドを記憶に残るような存在にしているのかを見ていきましょう。

01. ブランドのエッセンスを表すようなロゴ

私たちはブランドを思い浮かべるとき、ロゴも同時に思い浮かべます。しかしブランドとロゴがイコールではないことを確認した今、ロゴに関する考え方をブランド自体とは切り離したものとして捉えることができるはずです。敢えて言えば、ロゴとは、ブランドの土台なのです。

ロゴとは、ブランドを視覚的に表すための絵・図的要素であると言えます。良いロゴとはこういうものだという決まりはありません。例えばGoogleはSerifのフォントを用いたシンプルなロゴになっていますし、Targetはミニマルデザインのグラフィックで文字を使っていません。スターバックスは絵と文字の両方を組み合わせたロゴを用いています。そこに決まりは無いのです。

以下のロゴを見てみると、文字をベースとしたもの、絵をベースとしたもの、あるいはその両方を組み合わせたものが混在していることが分かります。それぞれにはそれぞれの良さがあり、例えば文字をベースとしたロゴはブランド名を直接的に伝えられる面でメリットがありますし、絵をメインとしたロゴはブランドとしての視覚的情報にユニークさを加えることができます。ふたつを組み合わせるパターンには色々な応用があり、デザインの幅が広がります。

成功を呼ぶロゴは一朝一夕にして成るものではありません。熟考し、改訂を重ね、実験をし、フィードバックを得て、何度もアイデアを出し、百を超えるアイデアを絞り出して、『これだ』と思えるものをその中からひとつだけ選ばなければならないのです。

There are plenty of ways to create a logo, find what suits your brand the best and run with it.

02. ユニークな形

小売業をメインとしているブランドであれば、提供する商品そのものがブランドを表していると言うことができます。つまり、何か記憶に残るような、『これだ』と思えるようなものを作り出すことが重要でもあるのです。

例えば、キットカットの形を手にとってみましょう。台形型のチョコレートバーがふたつ繋がっており、思わず真ん中で半分に割りたくなる形をしています。これにより、キットカットを食べるという体験に『割る』という行為が含まれることとなり、他の商品との差別化に成功しているのです。チョコレートバーを割るという行為自体は、余計であると言えばその通りでしょう。しかし、キットカットを食べるという体験と『割る』という行為の両方をブランド化することに成功しているのです。

また、この『割る』という行為と掛け合わせて、”Have a break, have a KitKat”のキャッチコピーが生まれることにもなっています(訳注:have a breakには、『割る』という意味と『休憩する』の意味が掛かっています)。商品の形にちょっとしたアイデアを取り入れるだけで、キットカットという商品は記憶に残る、万人に愛される商品としてその地位を確立するに至ったのです。

ここで、商品の形によってブランディングに成功している別の例を見てみましょう。例えば、『環境に優しい』ということを謳って商品を開発しているにも関わらず、商品の包装が明らかに過剰で、とても環境に配慮しているとは思えないようなものになっているとしたらどうでしょうか。この点からブランディングに取り組んだのが、化粧品小売業のKeihl’sです。

Keihl’sは、「包装をすることを考えたとき、私たちはいくつもの環境に優しい選択ができるということに気付いたのです。弊社チームはアイデアを出し合い、Keihl’sの商品を、できるだけ地球に優しく包むことができるように工夫いたしました」としています。(参照

再利用ボトルやキャップから、非PVCラミネートのラベル、そしていかにも『リサイクルされた』ことがわかる包装の見た目に至るまで、Keihl’sはその『環境に優しいブランド』としての在り方を維持し高めてきたのです。

商品を提供するときには、ブランド力を維持するためにあらゆる手段を講じ、どんなに細かい要素も見落とさないようにすることが大切であると言えるでしょう。

A simple and unique form is the driving force between the branding and success of KitKat

03. 意図的に色を選んで使う

ブランディングにおいて色使いは非常に重要です。ブランドの”トーン”を左右しますし、見る人に特定の感情や感覚を与えることもできます。色は、ブランドを生かすことも殺すこともあるのです。

色について考える上でまず検討されるのは、色彩理論の参照、そしてそれぞれの色がどのような効果を持つかを考えることでしょう。例えば、テクノロジー企業や金融企業は、ブルー系統の寒色系の色合いが多く、健康食品ブランドは緑や大地をイメージさせるような色合いを多く使っていることが分かります。これは、色彩理論や色が持つ効果を考慮した結果の選択なのです。以下の画像は、特定の色がどのような意味合いを持つのかをまとめたものです。

ブランドの中には、自社ブランドとしての色を確立するために意図的に色を絞って使っているというブランドがあります。例えばティファニーは涼しげなブルー系統の色を用いて、同社が提供するシルバージュエリーを映えさせることに成功しています。このため、その色がティファニーの色であると認知されるようになっているのです。その他、例えばHome Depotのオレンジ、Cadburyの紫、UPSの茶色のように、法的に色の使用を保護するための対策を行っている企業もあります。

自社ブランドの色として確立できるだけの色使いをするには、やはり実験を行っていくことが重要です。色彩理論は重要ですが、それに縛られる必要はありません。また、似たようなブランドのトレンドは重要ですが、これに必ずしも従う必要もありません。

Paying attention to the mental effects of each hue can give your branding that extra something.

ブランドの色を決める上で多くの場合有効なのは、現在提供している商品あるいは過去の商品の色を拝借することです。振り返ってみると、「こういう色使いが多い」と気付くようなことはないでしょうか。そうした色の周辺で使う色を限定してみるのも良いでしょう。「これだ」と思えるイメージがあれば、どのような色使いにするかを考えることは難しくないはずです。あなたが好きな写真や、ブランドのエッセンスを表しているような写真から色使いを考え、それを基本として色々と試してみると良いでしょう。

Using the eyedropper tool over an image is a quick and easy way to create a stunning palette.

04. 記憶に残るブランド名

小文字のiが頭文字になっている商品を見かけたら、それがアップル製品であることがすぐに分かります。たったそれだけのことで、アップル社は、記憶に残るような、それでいて応用力の高いキャッチーなブランド名を実現したのです。ブランド名で成功すれば成功したブランドになれる。アップルの一件は、そんな実例の証明であるとも言えるでしょう。

その他ブランド名で成功しているブランドとしては、Googleがあります。Googleという言葉は日本語なら『ググる』、英語でも”I’ll Google it.”のように動詞として使われており、特別な固有名詞から『検索する』を表す一般動詞にすらなっているのです。

その他、バンドエイドやフリスビーも固有名詞から一般名詞にまでなったブランド名です。むしろ、バンドエイドやフリスビーを商品名でなく言おうとすると難しいという人も居るのではないでしょうか。

ブランド名にも色々な種類があります。一から言葉を作ったものからイニシャルを取ったものまで、ブランド名の作り方に決まりはありません。つまり、どんなブランド名を作ったとしても自由だということでもあります。

ブランド名を決めるときに重要なのは、アイデアを詰め込みすぎないようにすることです。ブランディングにおいては、シンプル・イズ・ベストであるとよく言われます。以下の画像ではそれぞれのブランド名がどのように生まれたかが一覧になっていますが、それらのアイデアを全て取り入れようとすると散らかってしまうでしょう。どれかひとつのアイデアに絞り、できるだけシンプルに、かつブランドを言い表せるように工夫するのです。

ブランドにとって何が良いか、他の人に客観的意見を聞いてそれを取り入れるのも良いでしょう。ブランド名は他のブランドとは違うユニークなものでなければならず、発音が簡単で、『しっくりくる』ものでなければなりません。

The possibilities for brand names are just about endless. Think it out and come up with something fitting and memorable.

05. どのような言葉や表現を使うか

言葉使いはとても重要であり、ある種の言葉が特定の意味を持つものであることは誰もが理解するところです。例えばある車を『パワフルだ』とすれば、その車は、『より速く、タフな車』を欲しがっている人に魅力的に映るでしょう。しかし、『安全で子どもにも優しいモデル』を求めている人にはむしろ魅力が半減するかもしれません。

言葉を注意深く選んでいる企業としては、例えばアップル社があります。2012年、BuzzfeedがiPhoneを説明するのに用いられている形容詞を2分間の動画にまとめてみたところ、Revolutionary(革命的)、Breakthrough(ブレイクスルー)、Beautiful(美しい)、Faster(より速い)、Thinner(より薄い)、Gorgeous(ゴージャスな)、Lighter(より軽い)といった言葉が頻発していることが分かりました。このことから、最先端のテクノロジーとスタイリッシュなデザインを組み合わせることに心血を注いでいるブランドとして、アップルが美しさをイメージさせるような単語と共に比較級的表現を用いていることが分かります。

またディズニーも、どのような言葉を使うかということに注意を払っている企業です。それは広告や映画の中だけでなく、従業員にも徹底されています。ディズニーのテーマパークは、『キャストメンバー』と呼ばれる従業員が多く働いており、『素敵な一日を!』といつでも声かけしてくれます。ディズニーの元キャストメンバーであるRobert Nilesによれば、「ディズニーの世界には言葉使いについて独自の規律がある」とのことで、例えば乗り物が『修理中』や『停止中』であるとは決して言わず、『一時的に利用不可』で統一されているとされています。また、来場者は全員『ゲスト』と呼ばれ、勤務時間は『オンステージ』と『オフステージ』という言い方で区別されるとしています。これは、テーマパークそのものがひとつのショーであるという考え方からです。

こうした劇場感とワクワク感が言葉の節々から常に感じられるようになっていることで、ディズニーの魔法はとても強いものになっているのです。

A comparison of the commonly used words by Apple and Disney. Select your words with care and let them paint a picture of your brand.

06. 気の利いたキャッチコピーやスローガン

言葉使いについて考えたところで、タグライン(短めの気の利いたキャッチコピー)やスローガンの類いについて考えてみましょう。充分に言葉を取捨選択して作られたキャッチコピーやスローガンは、会社が何をしているのか、どのようなブランド価値を提供しているのかといったことを説明してくれるだけでなく、クリエイティブさをも感じさせてくれます。

優れたブランディングを行う企業は、一度目にしたあともしばらく頭に残るようなキャッチコピーやスローガンを生み出すものです。以下では、記憶に残り、そして情報量としても申し分無いキャッチコピーとスローガンの例をふたつ見てみましょう。

ひとつ目はオーディオブックサービスのAudible、そのスローガンは、”Stories that surround you”(日本語版:本は、聴こう)です。分かりやすくシンプルなメッセージで、オーディオブックの本質を見事に捉えて強調しています。

ふたつ目の例は、製薬会社のAbbott Pharmaceuticalsです。顧客の健康とサービスの質を意識した同社のキャッチコピーは、”A Promise For Life”(直訳:命の約束、人生の約束。日本語版キャッチコピーはそのまま、『プロミス・フォー・ライフ』)で、健康的な生活を届けると共に、命のためのサービスを提供するということも同時に表しています。

優れたキャッチコピーを用いることで、ブランドのメッセージ性を補うことができ、ブランド名をより記憶に残りやすいものにすることができます。有名ブランドのキャッチコピーを見てみると、いずれもとてもシンプルなことが分かるでしょう。文字数としても、英単語にしておよそ3~5単語という短さになっています。つまりそれだけ覚えやすいということです。

自社ブランドの信条や機能、イメージを、できるだけシンプルかつ短く伝えられるように考えてみましょう。クリエイティブに、それでいてシンプルに、というのがポイントです。

A comparison of the commonly used words by Apple and Disney. Select your words with care and let them paint a picture of your brand.

07. “言葉の調子”を演出する

かつて、企業と対話をすると言えば、それはフォーマルなイメージのあることでした。しかし今では企業もSNSを利用しており、消費者はプライベートのアカウントから企業と直接やり取りをしたりすることも可能となっています。こうした企業と消費者のやり取りにおいては、その会話がどのようなトーンで行われるかということがブランディングの上で重要になっているのです。

では、言葉の調子をブランディングするとはどういうことなのでしょうか。以下では例をふたつ見てみましょう。

例えばNikeは、国際的なスポーツ用品販売会社であり、TwitterやFacebook、Pinterestといったソーシャルメディアにおいても広く見られる企業です。こうしたプラットフォームにおいて、Nikeは『元気づける』ようでいて、『権威的で』『意志が固い』というような口調で話します。そうした権威のある話し方、動機付けになるようなエネルギッシュさもあり、消費者はNikeのアカウントに質問をするようになり、これによりブランド力も同時に高まるようになっているのです。

また別の例として、Old Spiceを見てみましょう。こちらは男性の身体の手入れ商品を扱う会社で、実に『筋肉質』なキャラクターのイメージが強くなっています。例えばそのツイッターページはユーモアとジョークに溢れていて、時折商品を宣伝する、といったような呟きになっています。そのジョークの内容を受けてユーザーも自分なりのジョークを言いやすいということもあって、そうしたジョークの拡散を通じてブランドも広く周知されるようになっているというわけです。

自分のブランドの『話し方』を考えるなら、自分のブランドが人間だったらどんな風に話すかを考えてみると良いでしょう。自社の人間として相応しい、それでいて意味のある、ユニークな『語りの調子』を考えましょう。

A comparison of Nike and Old Spice’s social media tone. Develop a tone that not only complements your brand but enhances it.

08. 希求力のある企業理念

達成するべき目標や目的、目指すべきゴールを持たないブランドというのは、燃料の無い車のようなものです。一方、明確なメッセージや意気込み、原動力となる何かを持っているようなブランドは、一般にそれよりも成功しやすいのです。

例としてOxfamの企業理念を見てみると、『Oxfamのビジョンは、貧困のない正しい世界です』とあります。明確で分かりやすく、ブランドの思想を反映しているメッセージであると言えるでしょう。この企業理念により、Oxfamはブランドとして確かな礎を得ることとなり、その上により大きな発展を実現していくことが可能となっているのです。Oxfamが手がける発行物やデザイン、キャンペーンは全てこの企業理念に立ち戻って再考されるため、方向性が間違っていないかを確認した上でブランドとしての統一感を高めることに成功しています。

企業理念は必ずしも『世界を変える』というようなものでなくても構いませんが、自身のブランドだからこそ掲げられる理念であるべきで、更に実際に取り組むことのできる『現実的な』ミッションでなければなりません。一般に、優れた企業理念はその内容が分かりやすく明瞭です。

ここでGoogleの例を手に取ってみましょう。そのミッションは、Googleの企業理念紹介ページ(https://www.google.com.au/about/)にて、『Google の使命は、世界中の情報を整理し、世界中の人がアクセスできて使えるようにすることです』とされています。やはり、分かりやすく明確なメッセージであり、そしてGoogleが日々実現し続けている理念であることが分かります。

優れた企業理念を掲げることができれば、ブランドの方向性が定まり、全体としての統一感が高まることで、ブランドの影響力や価値も高まることになるのです。

Purpose, mission and values are key to a clear and logical mission statement.

09. 消費者との感情的繋がり

コカコーラの広告を思い浮かべてみましょう。若い人々が、ビーチやパーティで、友人に囲まれて楽しそうにコーラを飲んでいるような写真が思い浮かびませんでしたか? それは、コカ・コーラのブランドが、味や価格だけでなく、どういうときにコーラを飲みたくなるかを意識してブランディングを行っているからです。コカ・コーラを飲むという体験がどういうものなのか、広告の中で明らかにしているのです。

優れたブランドは、ときに商品による繋がりを超えて、顧客との間に感情の結びつきを生み出します。これによりブランドは他とは違うものと感じられるようになり、そしてブランド自体にパーソナリティも生まれるのです。一般に無名ブランドの商品は有名ブランドのそれと比べて大きく劣るということはありませんが、それでも人々がわざわざ有名ブランドを選ぶのは、消費者がそのブランドネームに価値を感じているからです。ブランドネームを冠するような商品は、適切なブランディングを通して顧客との間に繋がりを生み出すことができるのです。

ドイツのある研究では、平均的な消費者が目隠しされた状態でコーラを飲んだ場合、その味の違いは分からないものの、コカコーラやペプシを飲んだときには脳がより快楽を感じるということが示されています。これについてTom Jacobsは、「これはコカコーラという言葉が快楽に結びつくトリガーになっていることを示している。コーラの質を判定する脳の部位を通らずに反応しているということだ」としています。

以上は、質の高いブランディングが顧客に対して感情面で強い影響を持つということが分かるデータであると言えるでしょう。つまりブランディングする上では、無機質なものではなく、ある種のパーソナリティを持つような、感情を持っているものとしてブランドを捉え、消費者との間に感情の結びつきを作り出していくことが重要であると言えます。

感情に訴えかけるような、フレンドリーさを感じるサービスは世の中に溢れています。しかしそうした中でも、顧客に感情的に訴えかけることは重要なのです。そうすることによってあなたのブランドと特定の感情が結びつけられることとなり、ただ棚に並んでいるだけの商品とは違って見てもらえるようになるでしょう。

While most people can’t taste the difference, a majority of people will pick Coke thanks to the branded emotional appeal it has.

10. 日常的な消費者にアピールする

世の中には、世界中で成功し、あらゆる国に営業範囲を拡大して、あらゆる老若男女に愛されるような企業があります。そうした企業は、日常的な消費者にアピールすることの重要性を理解しているのです。

人間のある種の感情や人生の体験として『誰にでも身に覚えがある』ようなことがあります。それは自分が体験したのかもしれませんし、身近な誰かが体験しているのを見たのかもしれません。しかし、私たちに共通するような何らかの傾向があることは間違いありません。成功しているブランドは、こういった体験を活用し、広く受け入れられるようなブランディングを行っているのです。

例えば、『幸せ』という誰もが知っている感情に訴えかけているブランドとしてマクドナルドがあり、ハッピーセットという商品名はそれを如実に表しています。このハッピーセットという商品をマクドナルドのブランドとして導入したことにより、シンプルながら非常にスマートなやり方で、子どもたちやその家族という最も重要な顧客セグメントにアピールすることに繋がっているのです。

さらに、『子どもたちはおもちゃで遊ぶのが好きだ』という一般的な考え方に基づいて、おもちゃを提供することにより幸福度を高めています。そのおもちゃを作るために、子どもに人気の映画などとコラボレーションすることで、常におもちゃを新しく、是非とも欲しいと思わせるようなものにすることに成功しているのです。

こうした取り組みにより、マクドナルドは『子どもたちが笑顔になる飲食店』としてのブランドを確立することに成功しています。そしてもちろん、子どもたちが笑顔なら、家族も笑顔になるというわけです。

『子どもはおもちゃが好き』や『家族は幸せが好き』というようなある種当たり前とも言える共通の認識に取り組むことにより、マクドナルドはただのファストフード店から、子どもたちの笑顔を見るために定期的に通えるお店というような立場を確立したのです。

できる限り多くの人々にブランドをアピールし続けるには、どういった感情や気持ちに訴えかけるかということを考えなければなりません。例えば家族、愛情、幸せ、信頼、ユーモアなどは、誰もが理解できる共通の感覚であると言えるでしょう。市場をよく洞察し、人々が好きなものや必要としているもの、共通として考えているものを見出しましょう。

McDonalds brands itself beyond fast and tasty food to the point where they are the go-to place for happy families.

11. 敢えて違う道を行く

『その他大勢』より目立つことのポイントはオリジナリティです。しかし、オリジナリティとは誰でも手にすることができるものでもあります。ユニークなセールスポイントや素晴らしいデザインを持つようなブランドを立ち上げることは、誰にでも可能なのです。ポイントなのは、功を奏するユニークさを手にすることです。

その他大勢との違いを発揮している良い例として挙げられるのが、これまたアップルです。アップルは限界に挑戦し続け、より薄く、より速いデバイスを作り上げ、より多くの特許を取得し、その上で更に見た目としても美しさを追求し続けています。AndroidやMicrosoftといったその他の企業とアップルが違うのはそういった企業努力の賜物なのです。

製品やソフトウェアの美しさにこだわりぬくアップルの姿勢から、それまで業界で意識されていなかったことを取り入れた市場開拓が可能となりました。例えばデバイス間の互換性、デザイン自体、色、そして手に持ったときの感覚などがそれです。こうした点に着目して大胆な舵切りをしたことで、機能面だけでなくハードウェアの使い勝手や美しさを大切にする人々への希求力が高まることとなったのです。

確かに、大胆な舵切りにはリスクが伴います。しかし、充分に計算され勘案されたリスクは、大局的には成功を呼び込むこともあるのです。目立つための方法としては、他にない製品、独特のデザイン、ユニークなブランド目的など様々な戦術があるでしょう。ただ重要なのは、ただ的を外れたような意志決定をしたり、ブランドの効果を損なうような決定をしたりしないようにすることです。

A unique and original brand will attract attention, just make an effort to ensure it’s the right kind of attention.

12. 統一性を持たせる

世界有数の大企業であっても、企業としての在り方が統一されていないばかりに台無しになってしまうということはあり得ます。

例えば、化粧品を扱っているメーカーであるDoveを例に取ってみましょう。自然な美しさを謳うこの企業が、皺取りのための成分注射を売り出したり、SNSで皮肉っぽい言い回しをし始めたり、そのロゴを一年で5回変更するといったようなことをしていたらどうでしょうか。これまで積み重ねてきたDoveとしてのブランドは、それまでと統一感の無い行動によってあっという間に崩壊してしまうでしょう。

こうした不一致が起こるのには多くの理由がありますが、主な理由は全体での共有・周知不足です。ここで重要になるのがブランドアイデンティティのマニュアルです。ルールを設定し、例を示し、最悪に備え、ベストを目指すのです。デザイナーからSNS担当者までブランドに関連するあらゆる箇所にこれを周知し、全員の足踏みを揃えることが大切です。

ブランドは、よくオイルがさされた機械のようなものであるべきです。ブランドを維持するというのは簡単なことに見えるかもしれませんが、実際には継続的に周知を行い、方針を定め、それを評価していかなくてはいけないのです。

一定してブランドの在り方を崩していないブランドとしてはNikeの例もあります。例えば以下のNikeの広告を見てみると、それぞれの広告のCTA(行動喚起)が常に動機付けになるような、権威的な雰囲気を持っていることが分かります。用いられているフォントも大きくパンチが効いていて、離れていてもよく目立つ広告になっています。

どのような言葉を使うか、どのような見た目を良しとするか。ブランドによりそれは様々ですが、とにかく同一ブランドにおいてはそれが画一的・統一的でなければなりません。ブランドは経年によって変化していくものであり、新たなスタイルを獲得していくものであるのは確かです。しかし、ブランドの在り方について何かを変えるときには、それを意識し、よく考えてから行わなければなりません。大きな変更を加えるときには、妥当で確かな理由が必要です。そして、良いブランドというのはそれほど頻繁に変更を加えなくても良いものです。だからこそ、ブランドの土台を考えるときには、それから先のブランドの成長が楽しみになるような土台を作らなければなりません。

Nike’s strong brand is built on a tower of consistency and cohesivity across all channels.

優れたブランドは永遠であり、よく人に語られ、そして記憶に残るものです。成功するブランドの作り方にこれといった方程式はありませんが、統一的な、よく練られた計画を実行していくことが、すなわち成功に繋がるということは言えるでしょう。

ローマは一日にして成らずと言いますが、トップブランドも同じです。時間と労力が掛かり、多くの人を巻き込み、そして目的を達成していかなくてはいけません。計画し、アドバイスを得て、フィードバックから学び、他人の意見も取り入れましょう。更に一歩先へ行くための、『これだ』と思えるソリューションを見つけていくのです。

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