自店舗への集客やイベントなどの告知のために、チラシを有効活用したいという方は多くいらっしゃいます。
近年ではセールやイベントなどの情報を、インターネットを使って拡散することが多くなりましたが、紙のチラシによる影響力は依然として大きなものです。 多くの人の目に入る新聞への折込チラシや、地域や年齢層などターゲットを絞ってピンポイントに投函するポスティングチラシなど、紙媒体ならではの印象に残る販促効果が期待できます。
しかし、
「チラシで集客をめざしたいけど、具体的な作り方がわからない」 「チラシを作成したいけど、プロに依頼するには予算が厳しそう……」
とお考えの方も多いのではないでしょうか?
確かに、プロのデザイナーレベルのチラシを自分で作るとなると、スキルや制作期間などの問題が出てきます。
しかし、チラシを作成するのはそこまで難しいことではありません。 インターネット上のサービスやアプリを利用すれば、意外にも簡単にチラシが作れてしまいます。
ここでは、チラシの作り方の手順とポイント、クオリティの高いチラシを作成するサービス・アプリを紹介します。
反響のあるおしゃれなチラシをデザインしたいと思っても、闇雲に作成をはじめるのは得策ではありません。チラシの作り方の手順を確認し、順番に進めていきましょう。 以下の5つの手順を踏みながらチラシを作成していきます。
まずは、何のためにチラシを作成するのかを明確にしましょう。 チラシを手に取るターゲットとなる相手を想定し、内容を具体化していきます。 ターゲット層が曖昧なまま作成をはじめると、内容が伝わりにくいチラシになってしまうからです。
ターゲット層を絞る際には、5W1Hの活用が効果的です。 5W1Hとは、以下の5つのWとHの頭文字で構成されています。
上記を意識することで想定するターゲット層を固定でき、どんな要素をどのような方法で訴求すればよいのかを明確にできます。
具体的な活用方法は以下の通りです。
訴求すべきターゲット層とチラシで告知する目的を明確にしておきましょう。 目的に沿ったチラシの内容にしなければ効果的ではありません。 ターゲットの年齢や性別によってチラシの方向性は異なります。
ターゲットを絞り込んだら、チラシに載せる情報を整理していきましょう。
デザインの方向性を定めるために、チラシのベースとなる情報を書き出します。 必要な情報をまとめずに作成に取り掛かると、後から足りない要素が出たり、作りかけのレイアウトを変更したりしなければならない事態が起こり得ます。
はじめにきちんと掲載すべき情報をまとめておきましょう。
チラシに載せるべき基本的な項目と、内容ごとに必要な項目の具体例を紹介します。
新装開店の場合
セール告知の場合
イベント告知の場合
訴求する内容がターゲット層にとって魅力的に感じられるよう、的確なキャッチコピーの存在が重要です。
セールやイベントの開催期間がわかるよう、必要な情報を目立たせることを意識しましょう。
チラシに載せるための必要な情報が出揃ったら、レイアウトを考えます。 レイアウトはチラシのデザインの設計図といえる存在です。 想定したターゲットを意識しながら、チラシに必要な情報を漏れなく盛り込みましょう。
レイアウトは紙に鉛筆やペンで描き、試行錯誤しながらイメージをまとめていきましょう。
レイアウトの考え方としては、紙面を3つのブロックに分割し、明確な役割を持たせるのが効果的です。
ブロックの分け方の一例を紹介します。
また、レイアウトを作成する際には、情報に優先順位をつけることが大切です。 店舗のセールを告知する場合は、目玉となる商品を前面に押し出し、カテゴリーごとに分けて表示するなど、ターゲットにメリットが伝わりやすくなるレイアウトを意識しましょう。
作成したレイアウトを元に、デザインする際に必要な素材を集めます。 商品の写真素材やイラストなどを確保しましょう。
画像やイラストを載せたチラシの方が、文字だけのものよりも視覚的なインパクトを与えやすくなります。より多くのターゲットに訴求できる効果が期待できるのです。
商品の写真が必要な場合は、デジタルカメラやスマートフォンのカメラで撮影する方法がありますが、インターネット上にある無料の素材サイトから、イメージに合った写真素材をダウンロードする方法もあります。
会員登録さえすれば、写真やイラストを無料で利用できるサイトが多くあるため、イメージに近いものを積極的に探してみるとよいでしょう。
以下に、無料の素材サイトを2つ紹介します。
11,000件以上のチラシ用写真素材が利用できる「写真AC」。 会員登録すれば写真素材・イラスト素材が無料で利用できます。素材は商用利用可能で加工も自由です。 人物や風景、小物などの写真素材が揃っているため、幅広いチラシ作成のニーズに対応できます。
写真ACの利用が向いている方:豊富な写真素材を探している方
大勢のイラストレーターが手がけたイラスト素材が集まる「イラストAC」。 さまざまなパーツのイラストが用意されており、チラシを装飾する際に活用できます。 作成者ごとに関連したイラストを確認できるため、気に入ったタッチを見つけやすくなっています。 ダウンロードしたイラストはPNGやJPG、IllustratorAI形式で保存できます。
イラストACの特徴
イラストACの利用が向いている方:イラストをパーツごとに探したい方
レイアウトと素材集めの準備が整ったら、デザインを開始します。 デザインの作成はパソコンのソフトを用いて行うケースが多くあります。
プロのデザイナーはAdobeの「Illustrator」や「InDesign」などのソフトを活用していますが、特別なスキルやソフトがなくても問題ありません。
普及率の高いMicrosoftの「Word」や「Excel」、「PowerPoint」でもチラシのデザインが可能です。 無料でダウンロードできるテンプレートを活用すれば、元々あるデザインの細部を変更するだけでクオリティの高いチラシを作成できます。
また、無料で利用できるインターネットサービスやスマートフォンのアプリを使ったチラシ作りができるようになっています。チラシを作成するための敷居は決して高いものではありません。
以下は無料でチラシのデザインが利用できるサービスやアプリの一覧です。
詳細は3章にて後述します。
デザインが完成したら、チラシの印刷へと進みます。 印刷するには自宅のプリンターやコンビニのネットプリントを利用する方法と、印刷を専門に請け負う会社へ依頼する方法の2種類があります。
チラシの配布枚数がそこまで多くない場合は、自分で印刷したほうが費用を抑えられるでしょう。 配布枚数が数百枚に及ぶ場合は、印刷会社に依頼した方が作業にかかるコストを削減できる場合があります。
印刷を依頼する際には、PDF形式のデータで入稿しましょう。印刷時の確認作業がスムーズになり、入稿時のトラブルを少なくできます。
作成したチラシは実際にターゲットとなる人物の手に取ってもらい、内容を読んでもらわなければ、集客効果を発揮できません。
競合と同時に配布された場合、他の多くのチラシに埋もれてしまい、読まれない可能性があります。 せっかくデザインしたチラシなのですから、ただ捨てられてしまうはもったいないですよね。
ここからは、チラシの作成時に意識すべきポイントを紹介します。
ターゲットにしっかりと手に取ってもらえるチラシ作りをめざしましょう。
チラシ作成の経験が少ない方が、いきなり独自性の高いデザインを完成させられることは稀です。 キャッチコピーのインパクトや全体のレイアウトの整合性など、最初は手探りになりやすいため、参考にできるデザインを見つけましょう。
訴求すべき内容が異なっていても、チラシのデザインやキャッチコピーの作り方は参考にできます。 無料で手に入るテンプレートなどを活用しつつ、気に入ったチラシのデザインを参考にしながら作成していくのがおすすめです。
ターゲットに届いたチラシを実際に手に取ってもらえるようにするには、一見しただけで伝えたい内容が明確なデザインである必要があります。
手にしたチラシが「自分にとって有益な内容である」と瞬時に理解してもらうことで、隅々まで読んでもらいやすくなるのです。
上記は、フィットネスクラブのオープンを知らせるチラシの例です。 フィットネス中の女性の写真で内容を視覚的に伝え、オープン記念のクーポンを大きく表示することで、お得感を訴求しています。
チラシは大きく分けて、最初に目に入ってくる情報と、細かく読み込むことで理解できる情報に別れています。
目立つ情報でターゲットの興味を引きつつ、開催期間や店舗の場所を示す詳細な情報まで、しっかりと読み進めてもらえるようなデザインを心がけましょう。
ポスティングチラシはタイミングによっては、競合他社と同じ日にポスト投函される場合があります。 自店舗や提供するサービスにおける独自性や特徴、強みとなる要素を盛り込むことで、少しでも目を引くように作り込んでおくのが大切です。
「期間限定のセールを開催中!目玉商品が30%OFFのお買い得価格に」
「昨年●●●人を導入した伝説のイベントが帰ってくる」
上記のように具体的な数値や過去の実績などを用いることで、文章に説得力が増します。 キャッチコピーに含めることで、チラシで一番目立つ部分で強みをアピールできるのです。
ぜひ、独自性の高い要素や競合にはない強みを分析し、チラシに盛り込むようにしましょう。
チラシ全体のレイアウトは読みやすくしなければなりません。 乱雑に情報を載せていたり、全体的に整頓されていても強調すべき部分がわからないレイアウトでは、最後まで読み進めてもらうことが難しいといえるでしょう。
強調したいポイントを明確にする
販売したい商品が一つの場合は、写真を大きめに使い目立つように紹介します。 セール情報など、掲載する商品の情報が多い場合は、優先順位をつけて販売したい順番にレイアウトを決めていきます。
商品を関連するグループごとに分けて見やすくする工夫も行いましょう。
視線の移動を意識したレイアウトにする
チラシの紙面上における、目線の移動を意識したレイアウトにするのも大切です。 人は文字を読む際に、横書きの場合は「左上」→「右上」→「左下」→「右下」という風に、「Z」型に視線を動かします。
縦書きの場合は「右上」→「右下」→「左上」→「左下」というように、「N」型の視線移動を行います。
つまり、横書きのチラシの場合は左上に、縦書きのチラシの場合は右上に重要な情報を載せることで、一番に視界に入れてもらいやすくできるのです。
見やすいレイアウトにするための、残りのポイントは以下の通りです。
デザインしたチラシはよく見直しましょう。 誤字脱字のチェックだけでなく、ターゲットとなるユーザーに届く内容になっているかも注視します。
商品を売るために機能や品質を前面に押し出したチラシにするのも一つの方法ですが、実際に使用するユーザー側の目線を意識した方が効果的だといえます。
上記はブライダル関連のチラシの例です。 ウエディングドレスを着用した女性の写真により、結婚式場を探している女性がターゲットだとわかります。
スマートフォンの画像を載せることで、アプリ関連だと理解しやすくなっています。 中央にはアプリの利用で得られるメリットを並べることで、登録への後押しをしているのがよくわかります。
このように、実際に商品を手に取った際の利便性や、生活を豊かにしてくれるポイントを具体的に紹介することで、ユーザー側からの購入が期待できます。
ユーザーの共感を得られれば、リピーターになってもらえるかもしれません。 次回配布するチラシの内容も、じっくりと読んでもらえる可能性が高まります。
ユーザーからの反響を糧に、チラシ作成のレベルを上げていくことで、継続して効果の期待できる訴求を続けられるようにしていきましょう。
チラシの作り方の基本を把握したら、実際に作成する工程に進みましょう。 手元に専用のソフトがない場合も、無料のアプリやインターネット上の無料サービスを利用してチラシの作成が可能です。
ここで紹介する以下のアプリ、サービスを活用してチラシ作りを開始しましょう。
インターネットのブラウザ上でログインし、クオリティの高いチラシのデザインができる「Canva」は、スマートフォンのアプリにも対応。データをクラウド上に保存できるため、時と場所を選ばずにチラシ作りに打ち込めます。
プロのデザイナーが作成したチラシテンプレート(新しいタブまたはウィンドウで開く)が豊富に用意されており、テキストやフォントを変えたり、写真を入れ替えたりするだけで、大変見栄えのよいチラシが誰にでも作れます。
チラシに限らずSNSへ投稿するコラージュや名刺などの作成にも対応した、汎用性の高いソフトです。
Canvaの利用が向いている方:スマートフォンで作業をしたい方 複数のテンプレートから選びたい方
インターネットのブラウザ上で手軽にデザインを行える「FotoJet」。 テンプレートを用いたチラシのデザインの他、写真のコラージュなどにも対応しています。
ビジネスやパーティーなどのチラシ用テンプレートが揃っており、写真を追加するなどカスタマイズしながら作成可能です。専門知識を必要とせず、直感的な操作でデザインを作り込めます。
完成したデザインは、保存して印刷できる他、インターネット上で共有できます。
会員登録しなくても利用できるため、チラシのデザインの構成が固まったらすぐに作業に取りかかれます。
FotoJetの特徴
FotoJetの利用が向いている方:手軽にチラシの作成を始めたい方
インターネットのブラウザ上でプロ並みのチラシが作れる「Picky-Pics」には、約5万点の写真やイラスト素材が用意されており、ドラッグドロップの簡単な操作だけでデザインを完成させられます。
あらかじめ用意してあるレイアウトに合わせ、クリックするだけで写真の位置を移動させられるなど、気に入ったデザインをスムーズに見つけられます。
スマートガイドにより、文字や写真の位置を中央や左右端に揃えられるなど、レイアウトを作成する際に高い精度を実現できるのが強みです。
Picky-Picsの特徴
Picky-Picsの利用が向いている方:レイアウトにこだわりたい方 日本語フォントを多く利用したい方
ネット印刷で地名度の高い「ラクスル」では、インターネットブラウザ上で編集できる、「オンラインデザイン」を用いたチラシのデザイン作成が可能です。
テンプレートを選び、文字や写真・イラストを追加したり、図形を配置したりできるなど、自由度の高い編集ができます。自分で撮影した写真をアップロードして活用できる点が便利です。
完成したデザインは自動チェック機能により、印刷時に文字がはみ出したり、文字が小さくて視認できないといったミスを事前にチェックできるので便利です。
チラシのデザインができたら、有料のネットプリントサービスに依頼し、完成品を届けてもらえるシステムになっています。
ラクスルの特徴
ラクスルの利用が向いている方:デザインから印刷まで一貫して依頼したい方
テンプレートがキーワードごとに選択できるようになっており、「アパレルショップ」や「花」など、店舗や商品に合わせて選べる点が便利といえます。
チラシのテンプレートは温かみのあるものからクールなイメージのものまでさまざまで、目的に合わせてダウンロードしましょう。
PowerPointは直感的に操作ができるソフトなので、文字を変更したり写真を挿入したりするなど、自分なりのデザインプランに合わせてレイアウトを組み替えていきましょう。
パワポンの特徴
パワポンの利用が向いている方:PowerPointを使ってチラシの作成をしたい方
最後に、実際にチラシを作る際の流れを確認しましょう。
3章で紹介した無料で利用できるアプリ、Canvaを用いたチラシの作り方を紹介します。 豊富なテンプレートを活用し、チラシをイメージ通りに具体化していきましょう。
今回は例として、コーヒーショップの新規オープン時のチラシをイメージして作成します。
テンプレートの中からチラシ/フライヤーを選択します。
チラシに関するテンプレート一覧が表示されるため、検索窓に「コーヒー」と入力します。 すると、コーヒーに関連したテンプレートが表示されるので、イメージに近いものを選びましょう。
選択したテンプレートのメイン画像を差し替えます。 デフォルトでは有料の画像素材が使われていたので、今回は無料の素材のみを使用して作成します。 左側の「画像」のアイコンを選びコーヒーで検索すると、関連する画像素材が表示されます。
無料で利用できるコーヒーのアップの写真を挿入しました。 テンプレート上部分の画像を選択し、左側から挿入したい画像をドラッグするだけで、簡単に差し込むことができます。
中央の画像も差し替えました。 丸いフレームの中で画像の位置を微調整できるため、レイアウトにもとことんこだわることができます。
次に、テキストを変更します。 カフェの名前をCanvaへと変更しました。テキストを選択して文字を打ち込むだけで、簡単に編集ができます。
チラシ下部の4つの画像も差し替えます。
テンプレートを活用して、上記のようなチラシを作成しました。 完成後はPDF形式でダウンロードし、プリンターで印刷できます。
下記は今回利用したテンプレートです。ぜひご活用ください。
チラシの作り方の手順とポイントをまとめました。
チラシの作成では、読んでほしいターゲットを絞り込み、伝えるための情報の選択が重要になります。
ユーザーがメリットを感じ、商品の購入やサービスの利用を促されるような、魅力的なチラシを作るのは、手間をかければ十分に実現可能です。
チラシを作りにあたりインターネット環境さえあれば、無料でテンプレートを活用できます。 プロ並みのデザインを利用し、自分のイメージするチラシの形へと近づけていきましょう。
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