冒険心を燃やす写真家が教える、あなたの風景写真をもっと素敵にするためのヒント

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風景を写真に収めようとすれば、静寂と平和の瞬間と、自然がもたらす思わず口が開いてしまうような荘厳さを、その肌で感じることができます。

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Photo by Louise Coghill

風景写真を撮ること。それは私が最初に情熱を燃やすミッションでした。家を飛び出して自然を探索すること。それは私にとって、ある種の瞑想にも似た行為になったのです。自分自身、そしてカメラと三脚。それだけを頼りにあちこちを旅し、ときに危険な冒険に身を任せることもありました。そうすることで私は少しずつ、カメラに何を収めることができるのかということを知り、実験を繰り返していく中で本格的にフルタイムの写真家として活動するようになったのです。

良い風景写真を撮るために必要なことについては、誰しもが独自の一家言を持っているものです。しかし、それを学ぶための本当にベストの方法は、色々なことを実践し、実験していくことに他なりません。そこでまずはこの記事を読み、そして外の世界に飛び出して実際に写真を撮ってみましょう。

以下、あなたの風景写真をもっと良く見せるためのヒントを共有したいと思います。これで、「良い写真ですね」という感想が「一体これはどこなんですか?」という驚きになるかもしれませんよ。

1. タイミングを正しく計る

光について

写真を学ぶということは光を学ぶことであると言っても過言ではありません。写真そのもののことを考えれば、シャッターを切るタイミングこそが全てです。適切な場所、適切な時間を選ぶことが大切なのです。一体いつの時間帯なら、この風景が一番美しく見える光を収めることができるだろうか、と考えるのです。

普段、私は風景写真を撮るときには夜明けか日没の時間帯(特に私はよく眠る方なので更に言えば日没の時間帯)を選びます。

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Photograph by Louise Coghill

写真に収めるイメージを決定づけるのは光です。通常の写真であれば、光の当て方などを調整しながら、それが被写体にどのような影響を与えるかということを考えることとなります。しかし風景写真の場合は、そこにある光こそが全てなのです。

ある小さな山中の村で、2週間を過ごしたことがあります。その場所では毎日正午になると雲が大量に発生し、土砂降りの雨が降ってしまうので、太陽が完全に隠れてしまうのが常でした。撮りたいものを自然の中で自由に撮影する方法などないのです。

しかしある日、いつもよりも早く晴れるということがありました。絶好の機会だと思った私は、既に見つけていた撮影ポイントに向かったのです。母なる大自然が私にその身の撮影を許した瞬間でした。更にこのときには、水辺で遊ぶ子どもたちを写すこともできたのです。

時間帯について

太陽が日没に近づいて光が弱くなると、光の色温度が変化します。光と影のコントラストが強い白と青の光の荒涼とした世界から一変して、暖かい色調と柔らかい影で光が触れる全てが魔法のように輝く世界が姿を現すのです。これこそ、写真撮影における『ゴールデン・アワー』あるいは『魔法の時間』とでも言うべき時間なのです。しかし、その時間の長さは地域によって差があります。モンゴルに居た頃はそれが2~3時間も続きましたが、オーストラリアに居るとこの時間はもっと瞬間的なものに感じられます。そんな特別な時間には、誰かと語り合うよりも世界の美しさに翻弄されていたい気分になります。

拡散していく光により深みや色合い、独特の質感が生まれ、同じ風景が幾重にも姿を変えるように見えてきます。違う時間、違う天候で写真を撮るだけで、その姿は千変万化にもなるのです。

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Photograph by Louise Coghill

瞬間的なもの

私がまだ新米写真家だった頃、ある写真を撮るなら、一日の中で一番素敵に写るように撮りたいと思っていました。そして後に、最高の写真を撮ることのできる瞬間というものは確かに存在し、それは忍耐に値するものであることを理解したのです。

例えば、山脈に太陽が完全に隠れてしまう直前は、かすかに漏れる光線のお陰で素晴らしい写真を撮ることができます。あるいは一羽の鳥が飛ぶ姿、ボートが横切る姿、そういうものが写真を『完成』させることもあるでしょう。

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Photo by Jeremy Bishop

その瞬間をじっと待つことが大切です。もしかすると、もう満足のいく写真を撮った後、もう少しだけその場に留まることで、『本当に素晴らしい写真』を撮る『その瞬間』が訪れるかもしれないのです。

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Photograph by Daniel Kordan

素晴らしい風景写真を撮るために大切なこととして、撮影場所を予めよく吟味して見つけておくことが挙げられます。その場所で撮影するべき時間帯を理解し、早めにスタンバイし、その瞬間が来るのを待ち構えるのです。

しかし、そういうことが実際にはできないということもあるでしょう。

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Photograph by Louise Coghill

例えば上の写真では、私はたまたまケーブルカーに乗って山を登っているところでした。そのとき、尾根の向こうから太陽が姿を現し、美しい光を投げかけ始めたのです。早朝の霧がまだ残っていて、幻想的な深みを感じる光景でした。こういった光は気まぐれで、その『瞬間』は一瞬で過ぎ去ってしまいます。ケーブルカーに乗ったままその『最適のロケーション』から離れる前に、私はすぐにカメラを構えてこれをフィルムに収めたのです。

この話のポイントは、撮影を行う上で特定の工程に重きを置きすぎないことも大切だということです。撮影のために計画を練るだけの時間が無いということもあるでしょう。一瞬だけ大自然が見せてくれる『完璧な瞬間』を、その場で可能な限り完璧に写真に収めなければいけないということもあるのです。

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Photo by Nathan Anderson

2. 正しい道具を使う

撮影場所を見つけたら、次は写真を撮影するための正しい道具選びです。

私が普段持ち歩いているのは、三脚と、16~35mmのレンズ、および70~200mmのレンズです。両方のレンズで写り方を確認できるようにしているのです。

広角レンズは、シーン全体を撮影するのに向いています。例えば、次のようなクレーターの中にある池の中にある火山の写真を撮るなら、広いレンズが必要です。

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Photograph by Louise Coghill

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Photography by Louise Coghill

被写体にズームインするのによい方法は、実際に近づくことです。しかし、それができないということもあるでしょう。例えば私の場合、ネパールに旅行に行ったとき、辺りが山に囲まれていたのでそれを撮影したいと考えたということがありました。このときには全体のランドスケープの撮影をするのに広角レンズが必要不可欠だったのです。しかし、望遠レンズがとても軽くなったこともあり、山頂にズームインしてシーンの特定の部分を捉えるということも可能になりました。

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Photograph by Tessa Kit

上記の写真は、広角レンズで撮影したものです。レンズによりメインの被写体と風景の間に距離が生まれ、木と背景が完全に切り離されたような写真を撮ることに成功しています。これにより、捻れた枝や根、乾いてひび割れた地面が強調されているのです。

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Photo by Jarrad Seng

同じ場所で撮影したものですが、望遠レンズを使用した写真です。ズームインすることで被写体を背景に近づけていることにより、先ほどとは全く違う効果が生まれています。

かつて私が風景を撮影するときには、常に全体の風景が写真に収まるように撮影したいと考えていました。しかし実際に撮影を開始してみると、全体の中の小さなシーンを見つけることが重要なのだと思うようになりました。何かスケールを感じさせるもの、あるいはその場所をより感じさせてくれるようなものが必要だったのです。

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Photo by Louise Coghill

3. カメラの設定を確認する

ISO設定

風景を撮るときには、その色合いにもこだわりたいものです。そこで重要になってくるのがISO設定です。ISOとは光の過敏度で、数字を低くすればより鈍感に、つまり『感光させるのにそれだけ多くの光が必要』ということになります。これは100~400にしておくと良いでしょう。

どうしてISO設定が重要なのでしょうか。それは、ISOが小さければ小さいほど、写真のクオリティも高まるからです。とは言え、ISO設定を高めたとしても、現代のカメラではほとんど問題にはなりません。

何かイベントなどを撮影するときには、私はISOを高くします。一方で風景写真を撮るときにはISOを低くするのです。これにより鮮明な写真を撮ることができ、色を現実に近い形で写真に収めることも可能となります。三脚を持っていなくてISOを高くしないといけない場合、写真の色の質は明らかに下がってしまいます。これは、得られる情報量が少なくなるためで、結果として編集するのも難しくなってしまうのです。

アパーチャー(レンズ口径)設定

次に重要になるのがカメラレンズの口径です。これはカメラに入り込む光量に関連しており、これを変化させると被写界深度(焦点が合っているように見える異車体側の距離の範囲)が変化します。口径が広いレンズを使うと被写界深度は浅く(特定のものだけがはっきりと写るように)、口径が狭いと被写界深度は深く(より全体がはっきりと写るように)なります。風景写真を撮る場合、できるだけフォーカスを合わせるようにしたい場合が多いでしょう。その場合には、f/8~f/14程度の口径で、浅めの被写界深度で写真を撮るのがおすすめです。この設定ではカメラに入る光量が少なくなります。

以下の写真は、被写界深度を浅くすることでどのような写真が撮れるかを表しています。

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Wide depth of field vs. narrow depth of field.

シャッターの速度設定

シャッター速度を変更するなら、三脚は必要不可欠です。ISOを低く設定して口径を狭くしたなら、シャッターを長い時間開いたままにしておくことで充分に感光することが重要になります。

朝焼けや夕焼け、あるいは夜空を被写体とした写真を撮るなら、20~30秒ほどの長時間露光が必要になる場合もあるでしょう。

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Photo by Robson Hatsukami Morgan

4. 構図の基本的なルールを活用する

ロケーションと撮影時間帯、そしてカメラ設定を終えたなら、次に取りかかるべきは構図の工夫です。

同じ場所の写真を何枚か撮ってみると、どの写真も違ってみるということがあります。インスタグラムなどを見てみても、同じ場所なのに全く違う写真に見えるということもあるでしょう。

例えば以下の写真では、全く同じ構図ですが撮影時間帯が違います。



ではここで、構図というものを考える上で重要な基本ルールについておさらいしておきましょう。

三分割法の活用

3x3のマスで写真のイメージを分割してみましょう(写真機能としてそういう機能が搭載されていることも考えられます)。そして、景色における水平線をこの横の線と合わせたり、線と線が交差する点にフォーカスを合わせるようにしてみましょう。

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例えば上の写真では、流れる水、奥行きも大きさも様々な滝、歩いている人の姿といったように多くの要素が入っています。その中で、歩いている人を線と線の交差部分に置くことで、全体としてバランスの良い写真に収めることに成功しています。

興味のポイント(POI)

ただ美しい夕焼けや朝焼けを撮るだけでは素晴らしい写真とは言えない場合もあります。そんなときには、景色の中の特定の一部分に注目させるようにすると良いでしょう。例えば次の写真では、アイスランドの黒い砂が全体に対して興味を引くポイントになっています。

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Photograph by Jason Charles Hill

リードライン

イメージの中に線が入っていると、見る人の目はそれを追ってしまいます。つまり、それを利用すれば面白い構図の写真を撮ることもできますし、注目するべき点を強調することもできるのです。

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Photo by Daniel Kordan

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Photo by Nick Cooper

5. 風景を分析する

今自分が何の写真を撮っているのか。その写真が映えるには何が必要か。どうしてその風景は他の風景と比べて特別なのか。どんなストーリーを伝えられるか。そういったことを考えることも大切です。

例えば被写体が水なら、その流れを写したいのか、それとも穏やかな水面を撮りたいのか、あるいは滝の力強さを表現するような躍動感のある写真を撮りたいのか。あるいは、写真に反射した風景が特徴的なのかもしれません。

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Photo by Top Five Buzz

もしくは、大自然の中を往く川を撮りたいという場合もあるでしょう。

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Photo by Peter Schreve

または人の姿を入れることで何かの大きさを強調したり、人間味を感じる写真として収めたりすることもできるかもしれません。

落ち着いた平和な風景なのか、見る者を圧倒するような絶景なのかという違いでも撮影方法は変わるでしょう。

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Photo by Caleb Jones

個人的には、その風景の『主役』を決めることで、どのように撮影するべきかが分かりやすくなると感じています。

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Photograph by Jason Charles Hill

6. 動き回る

素晴らしい風景と環境であれば、特定の場所にこだわって撮影をするよりもあちこちを歩いてみることの方が大切という場合もあります。高いところに上ったり逆に低いところに移動したりすれば、また別の見え方を発見できるのです。

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Photograph by Louise Coghill

例えば、上の写真は、この場所に来たときに私がまさしく『狙っていた』写真です。美しい滝、そして色とりどりの夕焼けが、ピンクとブルー、イエローの光で世界を包み込む様子はとても幻想的でした。この写真を撮るために、2日間、バスや列車で移動し、ようやく見つけたのがこの撮影スポットだったのです。

次の日、また同じ場所に戻ってきた私は、滝の周辺をもっと調べてみようと思いました。もう30時間もこの場所を探索していた私でしたが、遠くから見ると幻想的な滝は、近づくと実に迫力のあるパワフルなものであることに気付いたのです。そして、次の写真のような全く違う写真を撮ることができたのでした。

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Photograph by Louise Coghill

7. 加工する

私は自分の写真についてPhotoshopで加工することはあるのかと訊ねられるのですが、その答えはイエスです。このため、できるだけ多くの情報を捉えたRAW画像として保存するようにしています。空や山脈の影などのディテールが重要な風景写真においては、これはとても大切です。

風景写真を撮り始めた頃、私は自分の写真に何かが欠けている様な気がしていました。光の扱い方が分からず、空や山を綺麗に見せることができずにいたのです。しかしPhotoshopの使い方を覚えたことで、それまで『才能が感じられる程度のアマチュア作品』だった写真はプロの写真と言えるだけのクオリティに様変わりしてしまいました。

Photoshopで私が気をつけているのは、ツールを使うことで似たような色合いを使えるパレットを作成することです。写真においては使い勝手の悪い色というものもあるので、少し色褪せたようにしたり、色調を変更したりして写真の中で使いやすくするのです。

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例えば上の写真では、私は橋を目立たせたいと思っていました。そこで空を暗くし、前面を明るくして、川に目線が行くようにすることで橋の存在感を高めることにしたのです。

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こちらの写真では、光の強さを写真に収めたかったため露光を控えめにしています。しかし実際に見た風景は写真で見るよりもずっとカラフルで、その風景を写真で再現したかったため、全体を明るくし、そして暖かい色調を加えることでそれを表現しています。

8. スタイルを確立する

才覚に溢れる写真家は大勢います。そうした中で人目を引くには、自分なりのスタイルが必要なのです。

通常、写真を撮り続けていくことで、自分の中にある内なるスタイルを発見していくことになります。自分が好きなものにはどんどん引かれていくものなのです。

これこそが自分だと言えるような写真を撮るためにどういう要素があるかを考えてみましょう。ある人にとっては、何を写真に撮るのが好きかということ、あるいは色使いに特徴があるという人も居るでしょう。あるいはものを見るときにそれがどのように見えるかということに自分なりのユニークさがあると気付く場合もあるかもしれません。

私の場合、『ストーリーのある写真』が主なテーマになっています。例えば、写真の中に人を入れることで、そこに人間的要素を取り入れたり、風景写真では見る人がまるでそこに居るように感じる写真が好きなのです。

どんなものであっても、自分が楽しめるものを写真に入れるようにする。まずはそこから始めるのも良いでしょう。以下では、個人的に私が好きな独創的スタイルを持つ写真家を紹介します。

Benjamin Hardman
www.benjaminhardman.com/
benjaminhardman



Salty Wings
www.saltywings.com.au/
@saltywings



9. 練習あるのみ

写真を撮り始めるときに気をつけなければいけないのは、『このように写真を撮らねばならない』というような情報のあまりの多さに惑わされないようにすることです。良い写真を撮るための方法を学ぶ最善の方法は、とにかく撮ることです。ときに『試したいこと』を決めて、それについて色々と実践を繰り返していくことで、少しずつ学びを深めていくことができるのです。