写真に文字を入れるための完全ガイド

The complete guide for how to marry text and images

インスピレーションの湧く名言や思わず笑ってしまうジョーク。気の利いた一言が書かれた画像はInstagramやFacebookでもよく見かけますよね。

サイトのランディングページやオンライン広告。ビルボードや名刺まで、私たちが毎日目にするデザインには共通点があります。

それはなんでしょう? グラフィックデザインの一番の基本となる、写真とテキストの組み合わせ方です。美しい写真にキャッチ―なフレーズを貼りつけるのは、デザイン上簡単なことのようで実は案外難しかったりします。この記事では、ほぼどんなデザインプロジェクトにも使えるテクニックのヒントをご紹介します。では早速始めましょう。

1:構図を考える

Via Dribbble. Design by Vedad Siljak

画像のどこにどうテキストを入れるかでデザインの善し悪しは決まります。文字が小さ過ぎたり、背景がうるさ過ぎるなどで読みにくても、デザインとしての効果や、ビジュアル的魅力は薄まってしまいます。

でもデザイン上、写真もテキストと同じくらい重要です。そのため以下の点に注意しましょう。

写真の構図:自分で撮影した写真であれ、ストックフォトを使用するのであれ、文字を入れるための十分なスペースがあるかを確認しましょう。(テキストを強調する/背景を目立たせなくするために図形などを加える場合を除く。この点については後ほどまた解説します)

例えばこの雑誌の表紙では、縦型に切り取った風景写真の空部分に十分なスペースがあります。自然の風景写真の場合、空や水の部分を多くとるとテキストの配置にちょうどよく、邪魔するものがないので文字も目立ちます。

Via From Up North.

写真と文字の組合せによる全体の構図:色々なパーツを寄せ集めただけではデザインしたことにはなりません。綺麗な写真に素敵な書体でインパクトのあるメッセージを入れたとしても、2つの要素がうまくからまなければ、できあがりには注目も集まらず期待していたような結果にはならないでしょう。

写真とテキストがお互いを引き立つような構図を作るには、ひとつは写真内にある形に文字を揃える手があります。以下のサイトでは、ヘッダーのレイアウトにクリエイティブな方法で文字を並べてあります。文字の配置で、画像の主役である商品デザインも引き立ちます。ヘッダーの下のグリッドにある画像も、同じく文字の並びと商品写真のバランスが取れてお互いを引き立てています。

Via Dribbble. Design by Dwinawan Hariwijaya.

そして、写真を背景に単に文字を載せるというよりも、もっと広い視点で構図を考える方法もあります。写真と文字のアレンジは無限にできますので、思いっきり創造力を発揮してみましょう。例えば、以下のレイアウトでは2枚の写真を使い、タイトルの言葉(「アートというレンズを通して見る世界(Art as Lens)」)を視覚的にも分かりやすい形でデザインしています。

Design by Andrea Brunty.

そしてこちらでは、文字型に切り取られた形から画像がのぞきます。

Via Behance. Design by Amanda Jewell.

2:焦点となる部分を決める

よい構図のに欠かせない要素のひとつが焦点(Focal Point:ぱっと目に飛び込み、そこからスタートしてデザイン全体へと誘導する視覚要素)です。写真とテキストからなるレイアウトの場合、どちらかを主役に選ぶことになります。ですので、どちらがより重要かを決めたら、色、サイズ、配置位置などの持ち味をだして目立たせましょう。

以下はバケーション向け観光地の写真が主役のデザイン、旅行関連サイトなどにふさわしそうですよね。この場合、色値(レイアウトの中で一番色が濃い)とサイズ(ページ全体に広がる大きさ)から、写真がビジュアル的にも一番インパクトのある要素です。でも他のデザイン要素が埋もれないような工夫もしたいですよね。ここではアクセントとなる垂直のラインに加え三角形や四角形のシェイプを配置して、明るいブルーの文字を掴みに使い、テキストにも視線が行くようにしてあります。

Via Awwwards. Design by Epiphany Search.

反対に以下のサイトでは、文字(全て大文字で、太字、巨大フォントを使用)を焦点に据え、半透明な色を重ねることで写真を目立たなくしています。しかし、文字がイメージにうまく重なるエフェクトをかけることで、この二つの要素がダイナミックな構図を生み出しています。

Via Dribbble. Design by Andrew Reifman.

テキストも写真も同じように重要な場合は、全体的にまとまりがでるよう視覚的に両者を組み合わせましょう。以下の本の表紙では、花の写真にタイトルのテキストを文字通り絡ませることでふたつの要素を調和させ、同時に目にも飛び込んでくる効果的な結果となっています。

Via Book Cover Archive. Design by Tal Goretsky.

3:バランスをとる

美しい構図のもうひとつ特徴がバランスです。シーソーで片側に子ども、反対側には大人が乗ったらバランスが取れないのと同じように、片方が視覚的に重すぎるとデザインもバランスが悪くなります。

焦点を作るために視覚的重みを持たせ、他の要素よりも目立たせるのは構いません。問題はデザイン的にまとまりの取れていない場合です。うるさすぎたり詰め込み過ぎのデザイン、片側にすべての要素を詰めたレイアウト。余白の取り方が悪かったり、列がきちんと整っていない場合。これらの問題があると、デザインのバランスが崩れてしまいます。

テキストと写真のみのシンプルな要素で構成されるデザイン、サイトのランディングページや、本や雑誌の表紙など、これまで見てきた例ではバランスは特に重要です。デザインがシンプルであればあるほど、レイアウトの小さなアラも目立ってしまいます。

以下の包装では、ブランド名とその下の商品写真のバランスが取れています。どちらも同じくらいの大きさに設定され、同じ色を使用することで統一感をだしています。画像自体がテキストを入れるちょうどよいスペースでもあるのを利用して、ユニークなフレーバー名と各商品の原料を中に表記するという工夫も気が利いています。

Via Packaging of the World. Design by Dave and Misi Narcizo.

以下のデザインでは、テキストを的確な位置に配置したことでバランスがとれています。仮にテキストも右側に並べてしまうと、レイアウト上2つの焦点(写真にある人影と白い文字テキスト)が接近しすぎて、左側には大きな余白が残るため、構図的にもつり合いが取れなくなります。以下のような配置なら左右とも視覚的に同等の重みがでるので、デザインとしてバランスがよくなります。

Via Dribbble. Design by Stefan Belavy.

4:写真選びは慎重に

デザインを考えるとき写真は、ただの綺麗な背景やアクセントという以上の意味を持ちます。写真によってデザイン全体の雰囲気や感情も表現できるためです。写真の質感とテキストがマッチすれば、オーディエンスに対しよりはっきりとデザインの意図が伝わります。ですのでわざと視覚的矛盾のあるデザインを狙うのでない限り、写真とテキストがお互いを引き立たてるようにしましょう。

それを成功させた例が以下のデザインです。ぼかしを入れた男性の写真の目元に『変装(disguise)』というタイトルを入れることで、本の題名の意味をビジュアル的にも表現しています。このようにデザイン的選択を組み合わせることで、テキストと写真にはっきりと関係を持たせ、視覚的にも面白い仕上がりとなってお互いが見事に溶け合っています。

Via Book Cover Archive. Design by Jarrod Taylor.

もうひとつの例が以下の包装デザインです。新鮮で健康的な商品をアピールするのに、採れたての色鮮やかな野菜の写真はまさにぴったりですよね。「新鮮」、「ファーマーズマーケット」、「季節限定」という商品名やキャッチコピーもこのコンセプトとマッチしています。ここでは写真とテキストが協力して同じメッセージを伝えているのです。

Via Packaging of the World. Design by Cowan.

5:テキストの背景をデザインする

写真を明るく/暗くする:レイアウトに新たな要素を追加したくないなら、写真自体を編集することで文字を目立たせることもできます。

以下の例では、写真を暗くすることで白のテキストを読みやすくしています。

冒頭でも触れましたが、テキストが見やすく読みやすいスペースを作るのはデザインの過程で重要になります。それには2つの方法があります。

余白のある写真を選ぶ:構図を考える上での最初のヒントに戻ってみましょう。なにもない大きな余白がある、ぼかしやソフトフォーカスが入っている、その他、邪魔となる背景がほとんどないスペースのある写真が、テキストを入れるにはぴったりです。あまりにも色々なものが写り込んでいる写真が背景だと、文字テキストが読みにくいか、最悪潰れてしまうためです。

Via From Up North. Design by Erik Marinovich.

例えばPinterestに投稿された以下の画像は、被写体が見分けられる程度の軽いぼかしを入れた写真を使用することで、上に重ねた文字が埋もれないようにしています。

Via Yoplait.

写真を編集して、エフェクトを入れる:プロジェクトにぴったりなのにテキストを入れるちょうどいいスペースがない写真があったとしましょう。空白スペースがなかったり、写真に面白いディテールが色々あるような場合。そんな写真を使うなら、テキストを目立たせるために一工夫加えましょう。それにはいくつか方法があります。

背景となる図形を加える:写真のどこかに単色または半透明の図形を加え、そこにテキストを入れるのはよく使われるテクニックです。

Via Behance. Design by Charley Massiera.

Via Dribbble. Design by Caleb Royce Lummer.

半透明のカラーフィルターを加える:写真全体に半透明のカラーフィルターを加えればディテールが目立たなくなり、テキストを入れるスペースにもなる上に、視覚的にも統一感がでます。

Via Dribbble. Design by Simon Robinson.

そして以下では、 写真を暗くした上で、各イメージが下部に向かってさらに色濃くなるようしてあるため、テキストがより目立つようになっています。

Via Dribbble. Design by Kyril Ku.

6:カラーやコントラストを使って見やすさをアップ

使用する写真にテキストスペースの図形を挿入するなどのテクニックは使いたくない、でもテキストは目立たせたい。そんなときにはカラーやコントラストを使いましょう。

カラー:デザインの配色を考えるとき、アプローチの仕方は色々あります。でも特にテキストと写真を組み合わせるのに役立つアイディア2つを見てみましょう。

  • 色を揃える:調和の取れたまとまりのあるスタイルを目指すなら、写真の中にある色と文字色を統一しましょう。

Design by Family Design Co.

  • 差し色を使う:ドラマチックな効果を狙うなら、コントラストの強い色の組合せを使ってみましょう。まずは色相環チャートでお互いが引き立つ(またはコントラストとなる)色、以下のデザインにあるようなブルーとオレンジ、パープルとイエローなどの組合せを見つけましょう。

Via Dribbble. Design by Vedad Siljak.

コントラストを入れるには(前出の通り)色も使えますが、サイズ、形、配置位置などの個性を活かす手もあります。以下のポストカードでは上記のテクニックがすべて使われています。写真のクールなブルーとグリーンのコントラストにはサーモンピンク使用、単語もそれぞれサイズとフォントを変え際立たせ、「ROAD」という単語は(背景の丘の起伏に沿って) 上向きに傾斜しその他のタイポグラフィとは一線を画しています。これらを総合すると、テキストが目立ち、視覚的にも面白い構図となりました。

Via Dribbble. Design by Andrew Pennington.

デザインの具体例

上記のテクニックを上手に組み合わせたデザイン例を見てみましょう。

フライヤー:(1)では、写真下部、ぼかしの入ったキッチントップ部分にテキスㇳを入れてあります。(写真自体、明るくしてあるかもしれません)(2)では写真にある色(男性のシャツ)と同じく文字色もターコイズにしてあります。

Design by Family Design Co.

本の表紙:(1)表紙ではテクスチャの入った背景色ブロックを使用。(2)でも、裏表紙では文字入れスペースのある写真を使用して、黒のシャツの形に合わせて文章を挿入しています。(3)テキストはコントラストとなる色を使用(お互いを引き立たせるブルーとオレンジの組み合わせ)

Via Behance. Design by Ryan Szulc.

ランディングページ:(1)縦にバランスを取った構図。(2)視覚的スタイル、伝えたいメッセージともにお互いを補強するテキストと写真を組み合わせです。

Via Dribbble. Design by Elliott Munoz.

カタログの表紙:(1)バランスの取れたレイアウト。(2)写真では商品の使用例を見せ、テキストでセールスポイントを説明、両者が一体になってデザインの意図を伝えています。

Via Dribbble. Design by Jarad Johnson.

パンフレット:(1)ピンボケの個所にテキストを挿入。(2)差し色を使用することで文字の一部を目立たせています。

Via For Print Only. Design by Brownstein Group.

おわりに

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